ユーモア溢れるサステナビリティ
エルメスの“プティ アッシュ”

プティ アッシュの職人は、エルメスのさまざまなアトリエからランダムに出た残部、不良品、余剰品に実用性と美しさをもたらすことが仕事である。

　余った材料、捨てられたコンポーネント、アトリエから送り出すことができない不完全な製品から、気まぐれなオブジェを作るのだ。プティ アッシュはミュサールによってエルメスのさまざまな素材を橋渡しする“発想の実験室”として設立された。

「アトリエにアーティスト、デザイナー、職人たちを招き、一緒にマテリアルを見詰め直して、新しいオブジェを作るのです」

　エルメスの繊細な職人技の副産物は、アトリエにとって重要な役割を果たしている。メゾンの職人の高い技術力にもかかわらず、エルメスのワークショップで作られたアイテムは、非常に厳格な品質テストを通らないことがある。

　スカーフの小さなシミ、ステッチミス、クリスタルの中の小さな泡、革の表面のほとんど見えないスクラッチ……この種の欠陥があると、エルメスの製品として、アトリエから送り出すことはできない。