INTRODUCING THE HANHART × THE RAKE & REVOLUTION LIMITED EDITION
BRONZE 417 CHRONOGRAPH

スティーヴ・マックイーンが愛した時計

January 2021

text wei koh

1956年から1958年に製造された「417ES」。ステンレススチール製の“ES”の生産数は500本。

 もうひとつは、身に着けている姿を伝説のパパラッチ、ロン・ガレラによって撮影されたことで有名な、ロレックスの「サブマリーナー(5512)」である。1973年の映画『パピヨン』のロケ中、招かれざるカメラマンに対して無愛想な表情を見せながらコーヒーを飲むマックイーンの手首に、この時計が鎮座している。

 まだ時計コレクターたちの間にヴィンテージブームが訪れる前の2009年、マックイーンのロレックスは、驚くべきことに23万4千ドルで売れた。今となっては笑ってしまうほど僅かな価格だが。時計オークション、アンティコルムCEOのエヴァン・ジマーマン氏が、当時実に満足げだったのを覚えている。……ああ、デロリアンのタイムマシンがあれば……! おっと、話が脱線してしまった。

 マックイーンが所有していたことで有名な時計は他にも多数あるのだが、俳優としての“キング・オブ・クール”とは別の顔で、彼が自分の好きな活動をするとき―つまりバイクに乗る際に身に着けていた時計こそ、ハンハルトの「フリーガークロノグラフ 417ES」である。ストップウォッチと軍用クロノグラフ「ハンハルトとは?」 という方のために、1882年に遡ってみよう。この年、ヨハン・A・ハンハルトはスイスのディッセンホーフェンで自身の名を冠したブランドを創設した。1902年、ドイツ南部のシュヴェニンゲンへ移転。1924年には非常に精密でありながら手頃な価格のストップウォッチを製造し、評判となっていた。当時、この種の機構は目玉が飛び出るほど高い値段だったのだ。競技スポーツの人気ぶりを見たハンハルトは、ストップウォッチの大衆化を図り、結果的に大きな成功を収めた。

1964年、自身の「417ES」を着用してISDTに参加するスティーヴ・マックイーン。

本記事は2020年11月25日発売号にて掲載されたものです。
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THE RAKE JAPAN EDITION issue 37

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