FERRARI 340 AMERICA VIGNALE SPYDER
ON THE RISING ROAD OF EMPIRE

伝説となった跳ね馬

August 2018

text jared zaugg
photography pawel litwinski / bonhams

1952年のミッレミリアに出場した、シュテーレ所有の340 アメリカ。ハンドルを握るのはピエロ・タルッフィ、ナビゲーターはマリオ・ヴァンデル。クルマには同じゼッケンナンバー614がつけられている。

そしてオークションへ クルマにはそもそも人の感情に訴えかける魅力があるし、だからこそミヒャエル・シュテーレはこのクルマを手に入れた。彼は340アメリカの経歴を知り、ヴィニャーレのボディワークを気に入っていたが、心をつかまれたのはそのエンジン音を聞いたときだ。購入する前に、彼は妻にこのクルマを見せた。

「妻は楽しそうなクルマだと思ったようだ。そして、エンジンの起動音を聞くと、僕のほうを見てためらいもなく“ 買いましょう!”と叫んだよ」

 それから何年も経ち、思い出に残るドライブを何度も楽しんだシュテーレは、この愛車を大切にしてくれる人に譲るつもりだ。340アメリカは大手オークショナー、ボナムスに委託され、アリゾナ州スコッツデールで行われるクラシックカーのオークションにかけられる。

 次のオーナーはどんな人だろうか?歴史家、投資家、エンスージアスト、相場師? と問いかけてみると「ハンドルを握るのが大好きなドライバーだろう」と彼は答えた。

「エンジン音を聞いた途端に心を奪われるだろう。それだけさ」

(その後、このクルマは日本円にして約7億円で落札された)

大きく開いたグリルと丸みを帯びたヘッドライトは340アメリカの特徴的なデザイン。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 23
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