Exclusive Interview
THE CHAMPION AND A CAUSE

大義のために闘う王者
ルイス・ハミルトン

January 2021

ルイス・ハミルトンは既に史上最高峰のレーシングドライバーとして評価されているが、本人が求めているのはもっと深遠なレガシー。
初めて参戦した頃とは根本的に違う文化を、モータースポーツ界に残そうとしている。
text nick scott

Lewis Hamilton / ルイス・ハミルトン1985年、イギリス・ハートフォードシャー州スティーブニッジ生まれ。アフリカ系イギリス人の父親とイングランド人の母親を持つ。8歳の時にレーシングカートを始め、1995年にカートチャンピオンタイトルを獲得。2007年に名門マクラーレン・メルセデスからF1デビューを果たし、翌年、史上最年少(当時)でワールドチャンピオンに。これまでワールドチャンピオンを6回も獲得している。

本写真でハミルトンが着用する時計の詳細は、次の写真のキャプションを参照。

 インタビューの数日前にシュピールベルクで行われたオーストリアGPで、ルイス・ハミルトンは珍しく不調だった。ハミルトンは2位でゴールしたが、レッドブル・ホンダのアレクサンダー・アルボンに接触して5秒のペナルティを科せられ、4位に降格した。「車に乗るのが待ち遠しい。とにかく走りたい」――ハミルトンの輝く笑みからは苛立ちが滲み出し、出会ったばかりの相手にも憤りを隠さない。

「レースの間隔が空くと、いつまでも自分のパフォーマンスに不満を感じます。でもありがたいことにレースが次々とあるので、結果が今ひとつでも前向きに軌道修正できます。振り返ってやり直すことはできません。できるのは、今後に備えてしっかり準備することだけです」

 レース後、ドライバーとエンジニアの間で行われる反省会では、レーシングカーに搭載された300ものセンサーから得たデータが徹底的に精査される。レース前シミュレーション通りに物事がうまくいったか。新しい部品は期待通りのパフォーマンスを発揮したか。レース戦略は功を奏したか。レース中に発生したアクシデントから何を学ぶのか――。

 メルセデスの2台(ハミルトンの車と、優勝したバルテリ・ボッタスの車)は、サスペンションに高い負荷がかかっていたため、縁石から離れなければリタイアするリスクがあったことがデータから判明した。しかも、レース中盤にはギアボックスに問題が生じ、低回転でギアをシフトする必要があった。

ハミルトンがIWCと共同でデザインした特別モデル、「ビッグ・パイロット・ウォッチ・パーペチュアル・カレンダー “ルイス・ハミルトン”」。自動巻き、セラミック&18KRGケース、46.5mm。世界限定100本(販売終了)。IWC(IWC Tel.0120-05-1868)

本記事は2020年11月25日発売号にて掲載されたものです。
価格等が変更になっている場合がございます。あらかじめご了承ください。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 37

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