July 2021

DESIRE FOR LUXURY, MAYBACH

マイバッハの世界Vol.01
次元の違う、ステイタスを

常に時代をリードしてきたマイバッハ
革新的な技術と豪華な内装。
現代高級車の原型は、マイバッハが作ってきた。意欲的なプロトタイプにも注目したい。
text shintaro watanabe

ウィルヘルム・マイバッハをゴットリープ・ダイムラーが見いださなければ、メルセデス・ベンツも存在しなかったかもしれない。マイバッハの「MM」のエンブレムは、「マイバッハ・モトーレンバウ」の略である。

 1846年にドイツで生まれたウィルヘルム・マイバッハは不遇な幼年期を過ごしたもののエンジニアとしての才能を開花させ、ダイムラー・モーター社のゴットリープ・ダイムラーに見いだされ、メルセデス35HPをふたりで開発した。1900年にダイムラーが亡くなったのを機会にマイバッハもダイムラーを去り、後に息子も加わり1918年にマイバッハ・モトーレンバウという自動車メーカーを設立、1921年にマイバッハW3を発表した。

 このクルマは当時のドイツ車としては初めての4輪ブレーキやプラネタリーギヤを用いたトランスミッションなど革新的な技術が盛り込まれていた。いっぽうで内装にはウッドパネルや本革が惜しみなくあしらわれ、現在の高級車の原型とも言うべき豪華さも誇っていたのである。

 生産台数が約1800台に達した1941年に自動車製造業に一旦幕を閉じるが、2002年には当時のダイムラー・クライスラーがメルセデス・マイバッハのブランドを復活。以来量産車のみならず、多くのコンセプトカーを世に送り出し、業界をリードしているのだ。


ダイムラー・クライスラー時代に復活を遂げたマイバッハは「62」と「57」と名付けられたセダンで、車名の数値は全長を表していた。マイバッハは量産型の販売だけでなく、コンセプトモデルの発表を積極的に行い、ブランドの歴史の再構築を図る。写真上のコンバーチブルとクーペは、2016年にペブルビーチで開催されたコンクールデレガンスでワールドプレミアを飾ったビジョン メルセデス・マイバッハ 6。伸びやかで妖艶なスタイルは会場でひときわ存在感を放ち、注目の的となった。ちなみにこのビジョン6はモーターとバッテリーを搭載したBEVでもある。写真下左は、2018年のコンセプトSUV、ビジョン メルセデス・マイバッハアルティメット ラグジュアリー。下右は、2015年発表の限定車、メルセデス・マイバッハ S650 カブリオレ。

本記事は2021年7月26日発売号にて掲載されたものです。
価格等が変更になっている場合がございます。あらかじめご了承ください。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 41

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Contents

<本連載の過去記事は以下より>

マイバッハの世界Vol.02 世紀を超えたラグジュアリーの最高峰

マイバッハの世界Vol.03 究極のラグジュアリーを追求して100年。そして未来へ