July 2021

DESIRE FOR LUXURY, MAYBACH

マイバッハの世界Vol.01
次元の違う、ステイタスを

text shintaro watanabe

Mercedes-Maybach S 580 4MATIC
(メルセデス・マイバッハ S 580 4マティック)
伝統と格式を感じさせる、至高のセダン。伸びやかなラインで構成されたエクステリアが美しい。写真のS 580は、V型8気筒エンジン、最上級モデルであるS 680は、V型12気筒エンジンを搭載する。

全長×全幅×全高:5,469×1,921×1,510mm/エンジン:4LV8ツインターボ+ISG/最高出力:370kW+15kW(ISG)/最大トルク:700N・m+200N・m(ISG)/0-100km/h加速:4.8秒 ※数値は欧州参考値 ¥26,480,000~ Mercedes-Benz(メルセデス・コール Tel.0120-190-610)

 マイバッハ GLSはメルセデス GLSをベースにしているとはいえ、そっくりそのまま使用しているわけではなく、マイバッハと呼ぶにふさわしい改良が施されている。メルセデス GLSに装備される3列目シートがマイバッハ GLSには見当たらない。その代わり、2列目のシートを120mm後方へずらし、仕事にもリラックスにも適した極上の空間を後席に作り出している。

 マイバッハ GLSはSUVがゆえの車高の高さを考慮してエアサスペンションを標準装備、状況に応じて車高を調整する。マイバッハ GLSの前席は250mm、後席は280mm、それぞれヒップポイントがマイバッハ Sクラスよりも高くなっているが、このエアサスペンションと前述のランニングボードにより、乗降性の問題を見事にクリアしている。また、E-ACTIVE BODY CONTROL(ダイナミックカーブ機能付)※1と呼ばれるアクティブサスペンションが標準装備されているので、マジックカーペットライドと称されるフラットで快適な乗り心地が提供される。なおE-ACTIVE BODY CONTROLは一部のマイバッハ Sクラスでもチョイスできる。

メルセデス・ベンツ Sクラスのフルモデルチェンジを受けて、マイバッハ Sクラスも刷新された。エンジンはフラッグシップにふさわしい5,980ccのV12ツインターボが用意されている。

 3,982ccのV型8気筒ツインターボエンジンはマイバッハ GLSにもマイバッハ Sクラスにも搭載されるユニットである。ISG(インテグレーテッド・スターター・ジェネレーター)はモーターがエンジンをアシストする機構で、つまり電動化にも対応している。また、エンジンの負荷によっては8気筒のうちの半分の4気筒を休止するなど、地球に優しいエンジンでもある。ISGや気筒休止といったアイテムはハードウェアそのものはもちろんその制御も難しく、これが実現できるのはメルセデスの技術力と先進性に因るところに他ならないのである。

 メルセデス・マイバッハは当初、セダンのみが販売されていた。ところが市場の多様化が進み、メルセデス・マイバッハでもSUVを仕立てることになる。もちろん初めてのマイバッハにおけるSUVラインナップであり、ゼロからまったく新しいモデルを開発するという手もなかったわけではない。しかし、すでにメルセデス Sクラスをベースにマイバッハ Sクラスを作り上げた実績があるし、市場で高い評価を受けているメルセデス GLSを活用することで高次元のSUVを生み出す方法を選んだ。そしてそれはメルセデスの単なる焼き直しではなく、マイバッハの歴史に刻み込まれるのにふさわしい逸品となった。

 言ってみれば、メルセデス・マイバッハは究極の“ダブルネーム”であり、これ以上の贅沢を見つけるのはなかなか難しいのではないだろうか。

マイバッハ Sクラスは、メルセデス Sクラスのロングホイールベースモデルよりホイールベースが180mm延長されており、そのすべてが後席スペースの拡充に使われている。これにより、後席バックレストは最大43.5度までリクライニングが可能となり、足を伸ばしてリラックスできるレッグスペースが生まれた。

※1:視界条件により「ロードサーフェイススキャン」機能が効果的に作動しない可能性があります。
※写真は欧州仕様

本記事は2021年7月26日発売号にて掲載されたものです。
価格等が変更になっている場合がございます。あらかじめご了承ください。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 41

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Contents

<本連載の過去記事は以下より>

マイバッハの世界Vol.02 世紀を超えたラグジュアリーの最高峰

マイバッハの世界Vol.03 究極のラグジュアリーを追求して100年。そして未来へ