DEEP AND MEANINGFUL

世界の海軍に評価された時計

June 2020

text ross povey

1970年代以降に製造された「チューダー オイスター プリンス サブマリーナー 7016」。

アイコニックなデザインの誕生 チューダーは1960年代を通してフランス海軍にサブマリーナーを供給し続けたが、1969年にチューダーウォッチの最もわかりやすい特徴となる要素を発表した。それがあのアイコニックなスノーフレーク針である。

 スノーフレーク針は、フランス海軍のダイバーたちへより高い視認性を提供した。それまでの針は、日常生活においては十二分だったが、軍事環境においては針に施す夜光塗料の表面積を広げることが非常に重要だったのである。

 忘れてはならないのは、こうした時計が単に時刻を示す魅力的なツールではなく、ダイバーが潜水時間を計測するのに不可欠な救命装置だったという点だ。

 何しろ当時は、まだ手首装着型のダイブコンピュータがない時代だった。スノーフレーク針はその後民生用の時計にも用いられて高い人気を博し、チューダー独自の要素として先に登場したロレックスの同系製品との差別化をもたらした。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 32
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