BLUE BLOODS

王族破廉恥物語:“ブルーブラッズ(貴い血統)”たちの生態

October 2023

ヘンリー王子の王室離脱・マスコミへの露出が世を騒がせたばかりだが、もともと王族・貴族はスキャンダルの巣窟なのだ。近親相姦や隠し子、裏切り、権力闘争など、話題に事欠かない“ブルーブラッズ(貴い血統)”たちの生態を観察してみよう。
text ed cumming

ニューヨークのシェリー・ネザーランド・ホテルで新年を祝うウィンザー公爵夫妻。公爵は離婚歴のある女性ウォリス・シンプソン夫人と結婚するために王位を捨てた(1952年1月1日)。

 英国王室をモデルとしたコメディ・ドラマ『ザ・ウィンザーズ』の最新作を「あまりに王室をバカにしすぎている」と思う方も多いだろう。しかし、現実世界でも、ヘンリー&メーガン・サセックス公爵夫妻のお行儀の悪さは、王室そのものを危うくするといわれてきた。

 ヘンリー王子は、ラスベガスのホテルのスイートルームで裸になったり、ナチスの制服を着て仮装パーティに参加したりして非難されてきた。ナイトクラブで泥酔するのは毎度のことだった。最近では、タブロイドメディアの目から逃れるために北米に移住したいと言っていたにもかかわらず、暴露本を出版したり、ドキュメンタリー番組に出演したりして、人目を引こうともしている。

 しかし、サセックス公爵夫妻はネットフリックスの6時間に及ぶドキュメンタリー番組で、特筆すべきことは明かさなかった。ふたりはインスタグラムで知り合った。最初のデートはソーホーハウス(グローバルな会員制クラブ)だった。ハロウィンでは動物の仮装をした。キャサリン妃はメーガンにリップグロスを貸すのを拒んだ……。あまりドラマチックな展開とならず、ネットフリックスは肩透かしを食らわされた。

 2023年1月に出版されたヘンリーの暴露本『Spare』では、もっといろいろなことが赤裸々に綴られていた。弟としての立場から、父と兄に対して恨み言をいい、家族全員がセラピーを受けるべきだとした。しかし、最も暴露したのは自分自身についてだった。

 馬好きの年上の女性に童貞を奪われたこと、アフガニスタンで人を殺したこと、凍傷でペニスを失いかけたことなどが書かれている。革命的と喧伝された本は、自己中心的な内容だった。ヘンリーは革命家ではなく、ただの悪ガキだったのだ。

 その意味でヘンリーは、先祖より豊かな血統を受け継いでいる。品行が悪い王族は、昔からたくさんいたのだ。ヘンリーは“王子”だったのでまだよかったが、これが国王となると、問題はさらに大きく、ややこしくなる。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 53
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