画期的なオーダーメイドをスタートした
関口猛さん
Thursday, May 24th, 2018
関口猛さん
オンワードパーソナルスタイル代表取締役社長
text kentaro matsuo photography tatsuya ozawa
オンワードパーソナルスタイル社長、関口猛さんのご登場です。関口さんが指揮する“カシヤマ ザ・スマートテーラー”は、画期的なオーダーメイド・システムとして、いま話題です。どのへんが、他と違うのでしょうか?
「採寸は、こちらから会社やご自宅へ伺います。2回目からはネット上で生地を選んで頂くだけで、ご注文が可能です。価格は3万円から。納期は最短1週間です。特殊な圧縮パックに入れてご自宅までお届けします。パックから出して、しばらく吊るしておくと、ちゃんとスーツの形になるのです」
へぇ〜、スゴイですね! 開発には、さぞやご苦労があったことでしょう。
「実は、オンワードに存在していた、数々のシステムを組み合わせただけなのです。もともと弊社には訪問採寸の部隊がいて、年間に数万着もオーダーを取っていましたからね。こだわったのは1週間という納期で、週末にオーダーすれば、翌週末には届いて、月曜日から着ていける。『欲しい!』と思ったモチベーションが下がらないうちに商品が手に入るというのが大事かと。それから自社工場なので、自分たちですべてのクオリティをコントロールできるところも強みですね。物流も見直して、中間マージンを徹底的に抑えました。圧縮パックを採用したもの、その方が輸送費がかからないからです。“いいものを安く”を突き詰めたら、自然といまの形になったのです」
本日お召しのスーツも、カシヤマ ザ・スマートテーラーでオーダーしたもの。
「自分でネットから注文したものです。商品のテストを兼ねて、自分だとバレないよう、別の名前を使ってオーダーしました。はい、自腹です(笑)」
一枚仕立てのタイは、かつてオンワードがやっていたセビロ&コー。
シャツは、銀座・和光のオーダーメイド。
「研究のために買ったのですが、これがよく出来ているんですよ(笑)」
シューズは、エドワード・グリーン。
「今日は社内で大切なプレゼンがあったので、カタめの靴を履きました。基本的には、シンプルでアンダーステイトメントな装いを心がけています」
95年にオンワードへ入社してからは、ずっとカルバン・クラインをご担当されていました。
「カルバン・クライン本社のあるニューヨークへは、年5、6回ほど行っていました。そこでの経験は、本当に勉強になりましたね。例えば、同じグレイでも、彼らは100種類くらいを使い分けているんです。青っぽいグレイ、赤っぽいグレイ、黄色っぽいグレイ・・。そして、そのすべてに名前が付いている。プラチナム、スチールグレイなどなど。それらのコーディネイトを、真剣に考えているんです。その影響で、いまだにトーン・オン・トーンのコーディネイトが多いですね」
さらに遡って学生時代には、ヨット、そしてボーイスカウト活動にいそしまれていました。
「ヨットでは突然の風に流されてしまい、死にかけたことが何度かあります。それからボーイスカウトの活動では、高校生の時に、食料をまったく持たずに無人島へ上陸し、1週間滞在したことがあります。蛇を捕まえて焼いてみましたが、縮んじゃって、とても食べられませんでした。それからビニールシートを使って、海水を蒸発させ、真水に変えることも試してみましたが、得られた水は、しょっぱくて、飲めたものではありませんでした。1週間後には、体重が12〜3キロ減っていました(笑)」
ボーイスカウトの活動って、もっとマイルドだと思っていました・・
関口さんは、根っからのアウトドアズ・マンで、何かに挑戦することが大好き。そのチャレンジ精神が、ザ・スマートテーラーにも生かされているようです。
「新しいテクノロジーは、どんどん取り入れていきたいですね。例えば、ゾゾ・スーツのように、自分で採寸ができるようなシステムも、ご提供していきたいです。どうか、ご期待下さい!」
オーダーメイドの新時代は、この方が切り拓いていくのでしょう。
カシヤマ ザ・スマートテーラー https://kashiyama1927.jp/