I’VE GOT SOLE BUT I’M NOT A SOLDIER

手仕事の最高峰、
ジョージ・クレバリーの夢を叶える

April 2020

text tom chamberlin photography kim lang

日本でも入手可能!オーダー会と既製靴
日本最大級の靴売り場を擁する伊勢丹新宿店メンズ館では、定期的にイギリスからジョージ・クレバリーの職人を呼び、オーダー会を催している。次回は5月10日(日)を予定。日本にいながら、本場と同様のビスポーク靴が手に入る。

 他にも、フィドルバック仕様のウエスト、クレバリー流のトゥ、ウエストの下のソールが見えなくなる構造といった特徴も挙げられる。ブラックソールのような追加のディテールはオプションとなっている。つま先をこき使うため、靴がすぐに摩耗しかねない私の歩き方を考慮して、今回はスチール製のトゥプレート(つま先部の金具)も採用している。

靴とは恋愛のようなもの
 時間も費用も余計にかかるわけだから、思い切ってフル・ビスポークの靴を誂えることのハードルは高い。しかし、冒頭でも触れたように、靴とは恋愛のようなもの。愛情を注ぎ、敬意を払い、大切に扱えば、靴はいつまでも持つし、伴侶として、そして喜びをくれる存在として何十年もそばにいてくれる。父は自分の靴を私に譲ってくれたが、それは私が十分に成長し、靴を世話するにふさわしくなり、このような芸術作品を守るに足ると思ったからだと信じたい。

 幸運なことに、今では私も自分の一足を持つようになった。こんなに嬉しいことはない。自宅に持ち帰ったその靴を、私は専用の革製シューボックスに収納しており、ラストの形に合わせたイニシャル入りシューツリーで型崩れを防いでいる。そして特別な行事があれば、靴磨きと着用のために取り出している。

 ロイヤル・アーケードの工房でひっそりと働くクレバリーの職人たちは、ビスポーク界で名声を築き上げ、他店の羨望の的となっている。その姿は、暗い見通しばかりが伝えられる業界に向かって、希望のビジョンを映し出しているのだ。


また、伊勢丹新宿店では、ジョージ・クレバリーの既製靴も展開。アイコンの“レイジーマン・シューズ(前部の紐はダミーで、サイドがエラスティックとなっている)をはじめ、クレバリーのエッセンスを詰め込んだレディメイドが、リーズナブルな価格で手に入る。美しいトゥのシェイプもそのままだ。
問い合わせ=伊勢丹新宿店 Tel.03-3352-1111

左:レイジーマン・シューズ ¥125,000
中:アデレイド セミブローグ ¥125,000
右:タッセル ¥130,000 Isetan Shinjuku(伊勢丹新宿店 Tel.03-3352-1111)
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