Excavating Ghosts
The many faces of Japan

発掘され続けるゴースト
「ジャパン」のさまざまな顔

September 2022

 

 

世界で最も美しい男

 

 

 

 この後、彼らは知名度も上がり、マスコミも好意的な目を向けるようになったが、「シリアスな」音楽評論家たちは、まだ辛辣だった。彼らは、新しいジャパンのサウンドをロキシー・ミュージックのパクリと断じた。メジャーチャートでの成功もまだなかった。英国ではまだヒット曲がなく、ハンザは焦りを感じていた。

 

 シングルをヒットさせるために、ジャパンのマネージャーは、カバーバージョンをリリースすることを提案した。バンドはこれに同意し、スモーキー・ロビンソンの『セカンド・ザット・エモーション』のカバー曲を録音したが、このレコードは今日でもファンの間で賛否が分かれている。

 

 ミック・カーンは後にこのシングルについて、「私はずっとあの曲が嫌いだった……。曲ではなく、私たちが演奏したものが嫌いだった」と語っている。

 

 シングルのプロモーションのために、ジャパンのレコード会社の広報は、デヴィッド・シルヴィアンが日本で「世界で最も美しい男」に選ばれたという悪名高いストーリーを作った。

 

 他の男なら笑い話だが、シルヴィアンはとても美しかったので、信憑性のある話に思えた。しかし彼自身は、ミュージシャン、ソングライターとして真剣に受け止めてもらいたいと思っていたので、とてつもなく怒っていた。

 

 1980年3月、バンドは『クワイエット・ライフ・ツアー』で再来日した。東京・武道館での公演を皮切りに、大阪、京都、福岡、石川、新潟、水戸、札幌を回り、その様子は『LIVE IN JAPAN』EPに収録された。

 

 このツアー中に、坂本龍一とデヴィッド・シルヴィアンは初めて対面することになった。『ミュージック・ライフ』誌のために坂本がシルヴィアンにインタビューをしたのだ。これがきっかけとなり長い友情が育まれた。ふたりは多くのプロジェクトでコラボレーションを行うようになる。

 

 『セカンド・ザット・エモーション』が日本では87位、それ以外ではチャート外と低迷したため、ハンザはバンドとの契約を打ち切ることを決めた。しかし、このレーベルは、バンドが録音した曲をシングルやコンピレーション・アルバムとして再リリースし続け、後のジャパンの成功に便乗した。

 

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