CROCKETT & JONES : SKIN IN THE GAME
ローファーで“ぶらぶら”しよう
November 2020
ラバーソールの台頭
グッドイヤー製法のための特別なマシンを使ったサイド・ラスティングの様子。
ラバーソールとそのバリエーションは、顧客の要望とディテールへのこだわりを反映したものだ。
「10年ほど前に、ラバーソールの需要が急速に増加し、フォーマル・シューズの販売が停滞していることに気づきました。そこでラストを修正し、アンライニングの靴を増やしたのです」とフォックスは言う。
「私たちは、スエード製品のバリエーションを広げました。また、柔軟性のある新しいレザーとラバーソールを開発しました。そしてそれらにより、キャンバス、ウーブン・レザー、ブライト・カラー、スエードやヌバックのような素材が注目されるようになりました」
テイストやトレンドは変わっても、伝統的な製法は不変である。
左:ウーブン・カーフを使ったスマートなローファー“ケンジントン” 右:ダークブラウンのカーフスエード製“カドガン”
「私たちは、グッドイヤーウエルトのような信頼のおける製法を変えるわけではありません。私たちの新しいローファーはすべて、フォーマル・シューズと同じ250回以上の工程を経ています。それから例えば、ジャージーの裏地をハーフ・ライニングにするなど、細かい調整は常に行っています。前身頃の裏地を取り払うことで、快適性と柔軟性を高めることができるのです。それでより良い靴ができるなら、私たちは手間を惜しみません」
「ケンジントンはトップライン全体にレザーバインディングを施していますが、これにはふたつの目的があります。ひとつ目はカーフを編み込んだ部分がほつれないように縫い合わせるため、ふたつ目はローファーを脱ぎ履きする際にトップラインに強度を持たせるためです」
「カーフとキャンバスのコンビのリッチモンドⅡも裏地はありませんが、キャンバスの裏はザラザラした感触があります。そこでキャンバスエプロンの部分だけにライニングを入れました。ソックスレスでの使用を想定して、ファッション・アイテムにありがちな、“履き心地が損なわれる”ことがないようにしたのです。われわれは大げさなことは何もしていませんが、ちょっとした工夫はたくさんしています」
クロケット&ジョーンズのローファーを履いて、ローフィング(そのへんを、ぶらぶらすること)することは、これから暖かい季節の新しい楽しみとなるだろう。
さまざまな種類のヒールが保管されているヒール保管庫。