HOW to WEAR, HOW to ENJOY!

鴨志田流着こなし術 Vol.13
私が愛するドレスシューズたち

September 2022

鴨志田氏の装いに、いつも自然に溶け込んでいる足元の靴たち。

氏が好んで履くのは一体どんな靴?

 

 

text yuko fujita

photography setsuo sugiyama

 

 

 

スーツのときでも

ローファーは欠かせない

ソブリンのリネンコットンギャバジンスーツとコモリの半袖ウールTシャツに合わせた靴は、ロンドンのビスポークシューメーカーで20年くらい前にオーダーした黒×白のコンビローファーだ。「スーツスタイルの際も、特に春夏はスリッポン系が多いですね。ちなみに足元に置いているのは、20歳になった記念に買ったジョンストン&マーフィーのビーフロールローファーと、大学生のときに買ったオールデンのローファーです。根がアイビーなので、こういうクラシックなローファーは今でも好きですね」。すべて property of Yasuto Kamoshita

 

 

 

 

 鴨志田氏は足元を軽やかに見せてくれる靴が好きだといい、お気に入りのベルジャンシューズを含め、自身のスタイルにスリッポンは欠かせない存在だという。軽い足元を築けるという点では、黒のスエードの靴も年間を通して重宝しているとのこと。

 

「同じデザインの靴でも黒のカーフだとフォーマル感が強くなってしまって履く機会は限られるのですが、黒でもスエードになった途端、一気に服と合わせやすくなるんです。黒のスエード靴は春夏でも履きますし、気に入った靴を見つけるたびに買い足しています」と鴨志田氏。

 

 そう話す一方で、ビスポークシューズも積極的に楽しんでいる。

 

「ポールセン・スコーン(ニュー&リングウッド)、ステファノ ベーメル、コルテあたりにはそれぞれ惚れ込んだ時期があって、何足かずつ作ってきました。今でも続いているのはスピーゴラの鈴木さんかな。彼は私が伝えたかったニュアンスを上手に汲み取って、自分のスタイルにうまく落とし込んでくれるんですよね。彼の親しみやすくノリのいい性格もビスポーク向きですよね(笑)」

 

 

 

キートンのキャバルリーツイルのスーツ、ブルックス ブラザーズのBDシャツ、ニッキーのタイに合わせた靴は、パリのクロケット&ジョーンズで購入したアンラインドのスエードチャッカブーツ。「ネイビーやベージュやオフ白のスーツ、冬だとフランネルのスーツを着ているときなどに、この靴はとても重宝します。パリのクロケットの店にはそこでしか買えないパリの色彩の靴がある。いい感じのスパイスが効いた色は、アクセントをつけたいときなどに最適です」。

 

 

 

4足ともスピーゴラのビスポークシューズ。「鈴木さんには、私のそのときのテーマに合わせたトウシェイプを表現してもらっています」。下から作ったのが古い順に、洗練されたオールドパリを意識した茶のセミブローグ、アメリカンヴィンテージをテーマにしたダービー2足、英国の古いミリタリーブーツのトウを意識したパンチドキャップトウ。すべてproperty of Yasuto Kamoshita

 

 

タバコカラーとモノトーンの組み合わせも今年の気分。カモシタのリネンコットン製スーツ、ユナイテッドアローズのリネン半袖ニットというスタイリングに合わせたのは、昨今の鴨志田氏のスタイルに欠かせない、ボードイン&ランジのベルジャンシューズ。こちらも黒スエード製だ。パラティーノのマイクロボーダーソックスのアクセントも素敵だ。

 

 

ベーシックなデザインの靴でも黒スエードになると、見え方もだいぶ変わって洒落感が増す。独特の色気があって一気に普段履きしやすくなるとも。上から時計回りに、リヴォルタのチャッカブーツ、オールデンの外羽根キャップトウ、クロケット&ジョーンズのシングルモンク、リヴォルタのパンチドキャップトウ、ジョン ロブのクォーターブローグ。「他にはないリヴォルタのフォルムが大好きなんです。でもなかなか売れないんですよね(笑)」 すべて property of Yasuto Kamoshita