Monday, October 23rd, 2017

The Bold and the Beautiful

魔性の女、列伝

text james medd

フィアンセのサドルディン・アガ・カーンとその母親とともに(1957年)

もうひとりのスターモデル その頃、新たなティッセン男爵夫人の座についていたのは、ニナと共通点の多い女性だった。フィオナ・キャンベル=ウォルターもイギリス領の出身である。彼女は、1932年にニュージーランドのオークランドで、スコットランド生まれの英国海軍准将の娘として生まれた。

 フィオナもまたスターモデルで、セシル・ビートンやデヴィッド・ベイリーをはじめとする有名フォトグラファーや、スキャパレッリ、ランバン、ディオール、ヴァレンティノといった一流メゾンのお気に入りだった。

 彼女が離婚したばかりのティッセンと出会ったのは、サン・モリッツのゲレンデだ。

 フィオナは後に語っている。「彼は本当にステキだった。背中に大きなワシが描かれたシャツを着て、グローブもはめずにタバコを吸いながら、猛スピードで滑ってきたの。信じられないほど魅力的だった」

 しばらくは独身生活を楽しもうと思っていたティッセンも彼女の虜になり、ふたりは初対面から12時間後に結婚した。

 ふたりは数年にわたって、ルガーノ湖の上にあるクラシカルなヨーロピアンスタイルの壮麗なヴィラに住んでいたが、このヴィラにはドガやゴヤ、ピカソ、モンドリアンの作品をはじめとするティッセンの膨大なアートコレクションも収蔵されていた。フィオナは男爵を愛し、あるレポーターにこう語っていた。

「私たちはお互いに関心があるから、隠し事は一切ないの。誤解なんてありえないわ」

THE RAKE JAPAN EDITION issue 18
1 2 3 4 5 6 7

Contents