SLAVE TO LOVE

孤高の天才、プリンス

September 2016

text stuart husband
Issue12_P51_1

パープル・レインツアー中のステージパフォーマンス(1984年)

The girl on the seesaw is laughing
4 love is the colour this place imparts
Admission is easy, just say U believe
And come 2 this place in your heart
Paisley Park is in your heart

 また、彼はバンドメンバーだったウェンディ&リサ、アポロニア、サードアイガールのように、強い女性を好み、音楽だけでなく精神的な面でも彼女たちの気前の良いスポンサーとなっていた。

 そしてご存じのように、彼は自身の名前をシンボルマークに改名した1994年頃から、頰に“Slave(奴隷)”と書いてステージにあがるなど、アーティストの完全な独立性を求めて奮闘し、レコード業界が落ち込む中で“自分らしいアートを取り戻そう”と必死に活動を続けた。

 こうした独創的な主張に重きを置き始めたため、やがてアルバムをリリースしても話題にならなくなったが(実際、2004年のアルバム『The Chocolate Invasion』を覚えている人はいるだろうか?)、プリンス自身は決して単なるセンセーショナルな存在であろうとはしなかった。

 それでも熱狂的なファンは、連夜開催される記録破りなコンサートや、ゲリラライブ、アフターパーティに駆けつけた。それほどのカリスマだったのだ。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 12
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