SALVATORE PARISI

RAKISH MANは、
すべてに自分の決まった職人がいる

March 2020

自身のスタイルをもっていることがひとつの条件でもあるRAKISH MANは、
スーツ、シャツ、靴など、すべてに自分のお気に入りの職人を抱えている。
ローマの紳士、サルヴァトーレ・パリーシ氏も同様だ。
photography serafino di gregorio text yuko fujita

Salvatore Parisi / サルヴァトーレ・パリーシ1955年、ナポリ生まれ。17歳のときにローマに移り住む。臨床心理学の権威。キューバンシガーをこよなく愛す、イタリアきっての葉巻コレクター。キューバにはこれまでに70回以上通っている。超エクスクルーシブな葉巻クラブ「UBI MAIOR」の総帥。イタリアの政財界とも非常に強いパイプをもっている。

 ローマ郊外のプール付きの広大なヴィッラに住む紳士、サルヴァトーレ・パリーシ氏は、イタリアきってのエレガントな紳士で、もう35年も前から自身の変わらぬスタイルを貫いている。

 イタリアの要人がメンバーに名を連ねる超エクスクルーシブな葉巻クラブ「UBI MAIOR」の総帥であり、ハバナ産シガーのコレクション数はイタリアで髄一だ。仕立て服をこよなく愛し、お気に入りの職人を見つけたら、浮気はなし。彼らが生活していけるだけの量を仕立てまくり、友人にもその職人を紹介する。

 職人との付き合いは何十年にも及ぶから、職人はパリーシ氏のスタイルを完璧に理解し、パリーシ氏のために尽くす。自身のスタイルをその職人とともに表現し、パリーシ氏を敬う紳士たちとともに支えていく。イタリアの職人の世界における、古きよきパトロン文化をそのまま体現したような紳士である。

 スーツはナポリのミンモ(ドメニコ)・ピロッツィ(ヌンツィオではなくキアイア通り197番のほう)、シャツはローマのフラミニア街道にあったサバティーニ(現在は自宅でパリーシ氏ら一部の顧客だけにシャツを仕立てている)、靴はローマのマルコ・チェッキがお気に入りだ(かつてはローマのペトロッキやボローニャのペロン&ペロンでも仕立てていた)。

 着ているブレザーは、ボタンにUBI MAIORの紋章が入った、彼のアイデンティティともいえる4ポケットのコマダータイプだ。チーフはTVフォールドで右胸に挿す。

 シャツはすべてサバティーニで、左腕のカフには時計ベルトを通すループが必ずつく。靴もすべてス ミズーラ。所有数は膨大だが、すべてダブルソールで、がっしりとした体躯のパリーシ氏にふさわしい存在感のある作りだ。

 確固たる美意識をもち、流行を超越したスタイルを確立しているパリーシ氏こそ、紳士の極みである。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 31

Contents

<本連載の過去記事は以下より>

RAKISH MANは、トレンドから距離をおいた 自分のスタイルをもっている

RAKISH MANは、 職人の仕事を美しい色彩で楽しむ

RAKISH MANは、玄人好みの生地を知っている

RAKISH MANは、 シガーを嗜む隠れ家を持っている

RAKISH MANは、 自宅にアートピースを飾っている

RAKISH MANは、 使い込むほどに味の出る鞄を知っている

RAKISH MANは、 ヴィンテージのリングを持っている

RAKISH MANは、 クラシック・カーを愛する