Plenty more Mr. Nice Guy

ヒュー・ジャックマン スペシャルインタビュー

January 2015

original text nick scott
text shiho atsumi
photography gillles-marie zimmermann

「マイスターシュテュック ヘリテイジムーンフェイズ」自動巻き、18KRGケース、39mm。Montblanc

 巷の評判は「ナイスガイ」からぶれることはないが、スクリーンの中で見せる顔のバラエティの豊かさには目を見張るものがある。例えば映画『タロットカード殺人事件』でヒューを起用したウディ・アレン監督は、彼をケーリー・グラントに例えてこう評する。「粋で魅惑的でとびきりハンサム、好感が持てる上に、ダンスや身のこなしが優雅で歌も唄える。他の俳優とは比べようもないね」。

 その一方、『オーストラリア』の監督バズ・ラーマンはこうだ。「ニコール・キッドマンを抱き上げてベッドに放り投げ、頼もしさでうっとりさせられる。そんな能力を持つ俳優はそうはいない。その上、彼は牛追いも上手い」。

 この10年、ハリウッドで彼が演じてきた役をかいつまんで見てみよう。勇敢なヴァンパイアハンター(『ヴァン・ヘルシング』)。プレスリーを歌う皇帝ペンギン(『ハッピーフィート』:声の出演)。嫉妬に駆られたマジシャン(『プレステージ』)。殺人狂のハンサムな英国貴族(『タロットカード殺人事件』)。安っぽい詐欺師(『彼が二度愛したS』)。中国語が堪能なナイトクラブ経営者(『雪花と秘文字の扇』)。ロボット格闘技にかける落ち目の元プロボクサー(『リアル・スティール』)。そして次回作『The Greatest Showman on Earth』で演じるのは、アメリカの伝説的なイカサマ師にして興行師のP・T・バーナムだ。もちろんその合間に身体を鍛え上げ、5本の『X-MEN』シリーズでウルヴァリンを演じている。2012年にロサンゼルスのウォーク・オブ・フェイムに彼の名を冠した星が追加されたときはこう言った。「15本もの映画で同じ役を演じることで、この星を手にしたのは僕だけだろうね。名犬ラッシーを除けば(笑)」。(現時点では予定も含めて10本)

 ウルヴァリンは自身のキャリアにおける土台だと、ヒューは言う。

 「『X-MEN』は僕が初めてアメリカで出演した映画で、あの作品が僕を有名にしてくれたし、監督よりもスタジオが僕をキャスティングしたがるような肩書きを与えてくれた。その逆パターンはよくあるんだよ。実際、オーストラリアにいた頃に僕と仕事をしたがったのは監督たちで、金を出す人たちは“こんな無名俳優は使うな”って感じだったからね。初めてのアメリカ映画は大ヒットしたし、ウルヴァリンはある意味で古典的な役だったから、スタジオは好感を持ってくれたんだろう。その代わり、監督からオファーをもらえるまでには少し時間がかかったけどね」

腕時計:「タイムウォーカー エクストリーム クロノグラフ DLC」自動巻き、ブラックDLCコートSS ケース、43mm。Montblanc

THE RAKE JAPAN EDITION issue 01
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