Masterpieces of Fabric 02: DORMEUIL “Vintage Sportex & Cashmere”

カシミアを纏ったラグジュアリーな
“ヴィンテージ スポーテックス&カシミア”

October 2022

photography jun udagawa
styling akihiro shikata

ドーメルが1922年に開発した歴史的名作生地“スポーテックス”とは?

 1842年に創業したフランスの名門ドーメルは、耐久性と快適性を備えた世界初のスポーツ用生地「スポーテックス(1922)」を発表したのを皮切りに、世界初のモヘア高混紡生地「トニック(1957)」、春夏用モヘア「スーパーブリオ(1958)」など、これまで数多くの名作生地を世に送り出してきた。これら三つは今もドーメルを代表する名作生地として君臨し、世界のあらゆる生地の中でも最も名の知られた存在として輝き続けている。

 一方で、最近ではスーパー160’sに相当する極細原毛を4プライにして織り上げた“15.7 4プライ(2019)”、15.7 4プライの糸とスーパー180’s 4プライの糸で織り上げた“パルムドール(2022)”など、新たなラグジュアリー生地も打ち出している。これらはTHE RAKEが考えるドーメルの名作生地トップ5だ。ちなみに企業ポリシーは“トラディション&イノベーション”。名は体を表すとはまさにこのことだ。

1922年に発売された世界初となるスポーツ用テーラード生地“スポーテックス”は、さまざまな著名イラストレーターによる広告キャンペーンによって、一躍その名が世界中に知れ渡り、大人気の生地となる。上3枚のイラストを見ての通り、ゴルフ、ハンティング、フィッシングなど、スポーツ用ファブリックとして提案された。

フィリックス・ザ・キャットがスポーテックスの生地をいくら爪で引っ搔いても、タフなスポーテックスはびくともしないという、スポーテックスの素晴らしさを愛らしいストーリーで表現したマンガ。タフなスポーテックスへの興味に駆り立てられる。

 そしてこの度、スポーテックスの誕生100周年を記念し、“ヴィンテージ スポーテックス&カシミア”が登場した。耐久性たっぷり、ツイーディでヴィンテージ感溢れるスポーテックスのよき雰囲気はそのままに、カシミアを25%混紡した32番双糸で織り上げられた380g/mの生地は、時代に合った柔らかさ、ラグジュアリー感を備える。今のドーメル、マジ最高!

スポーテックスの誕生100周年を記念し、この秋登場した“ヴィンテージ スポーテックス&カシミア”(380g/m)。独特のメランジ感と膨らみ、柔らかなタッチが、生地好きを大いに魅了する。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 48
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