LIVERANO & LIVERANO at Eleganza Sobrietà
リヴェラーノ&リヴェラーノという文化を広める
“エレガンツァ ソブリエタ”が発信するエレガンス
October 2019
styling akihiro shikata
text yuko fujita
Junichiro Yamada / 山田 潤一郎(左上)1977年生まれ。長らく大手セレクトショップでキャリアを積んで銀座店店長を務めたのち、四国の愛媛県松山市にてメンズクロージングストアの「ドレッサーズ」を2009年にオープン。リヴェラーノ&リヴェラーノの最もよき理解者である。
Antonio Liverano / アントニオ・リヴェラーノ郎(左下)1937年生まれ。プーリア州パラジアーノ出身。7歳で仕立ての見習い仕事に就き、48年に11歳年の離れた兄ルイージがフィレンツェに渡って工房を構えたのを機にフィレンツェに移り住む。78年、リヴェラーノ&リヴェラーノをオープン。
Tomoya Iuchi / 井内 智也(右上)1980年生まれ。リヴェラーノ&リヴェラーノが織りなす独特の世界に魅せられ、彼の世界観を多くの人たちに知ってもらうべくオープンした岡山のメンズクロージングストア「エレガンツァ ソブリエタ」のショップマネージャー。
Takahiro Osaki / 大崎 貴弘(右下)1979年生まれ。2002年にフィレンツェに渡り、リヴェラーノ&リヴェラーノに入る。アントニオ・リヴェラーノ氏から絶大な信頼を寄せられており、ショップマネージャーとして活躍しながらプレタポルテの企画や生産を仕切っている。
THE RAKE サルトリアという枠を越えてフルコレクションでプレタポルテを展開しているところは、イタリア全土を見渡してもルビナッチとリヴェラーノ&リヴェラーノくらいで、ただしそれを1代で成し得たところとなるとリヴェラーノ&リヴェラーノのみなんですよね。世界にその名が知られるようなった今、プレタポルテはリヴェラーノという独特の世界をお客さんに伝えるにあたってとても重要な役割を担っていると思うんです。
リヴェラーノ リヴェラーノ&リヴェラーノという世界をより多くの方たちに知ってもらうために、30年も前からずっとスーツやジャケットのプレタポルテを展開してきました。すぐにスーツを必要とする方たちもいれば、もっと気軽にスーツを楽しみたい方たちもいて、理由は異なりますが、プレタポルテは一定の人気を誇ってきました。我々にとってひとつの契機となったのは2016年です。プレタポルテに関しても自社の工房を構え、製品のクオリティをさらに高めることを試みたのです。私はもう高齢ですし、タカ(大崎氏)も立派に成長してくれましたので、プレタポルテはタカに一任しているのですが、単にリヴェラーノの世界を表現してくれているだけでなく、そのスーツやジャケットはス ミズーラに肉薄するほど完成度が高まりました。私からすれば困ったことです(笑)。
大崎 ス ミズーラと同じデザインのプレタポルテは確かにすぐに着られて便利ではありますが、ときに安易なものになってしまいますし、やはりス ミズーラには敵わない。そこで、今のス ミズーラとは異なる、昔のリヴェラーノのスタイルにこだわって作ってみることにしたのです。今展開しているプレタポルテのスーツ&ジャケットは、ほぼすべて昔のリヴェラーノ&リヴェラーノのスタイルになっています。具体的には、よりゆったりし、ゴージラインが低く、スリーブは太めで、胸の膨らみが豊かな服です。これが大変好評を得ておりまして、ス ミズーラをされたお客様も買われていきますし、合わせるシャツやタイも一緒に買われていきます。
山田 私も昔からリヴェラーノ&リヴェラーノの大ファンで、それもあって私の店でも扱わせてもらっているのですが、リヴェラーノ&リヴェラーノというと日本ではオーダーの服という認識が未だに強いように思います。でも、フィレンツェのお店に行けば、シャツやネクタイ、ニットや小物などの唯一無二で魅力に満ちた製品がズラリと並んでいて、トータルで魅せる世界が広がっている。そんなアントニオさんの美意識をもっときっちり伝えていきたいと切に思っていますし、それが私の使命だとも思っています。単品のネクタイとか、単品のスーツとかで見ると、モノのよしあしだけでここの作りがどうとかいう話になりがちですけど、リヴェラーノの魅力ってもっとトータルな世界にあると思うんです。
井内 昨年の9月に岡山に「エレガンツァ ソブリエタ」をオープンし、THE RAKEさんでも紹介してもらったこともあり、全国から非常に多くのお問い合わせをいただいています。スーツやジャケットもこれからたくさん入荷してきますし、それを軸にしながらも、山田さんがおっしゃるようにリヴェラーノ&リヴェラーノの世界をお客様に伝えていくことが自分たちの使命だと思っています。
リヴェラーノ&リヴェラーノのプレタポルテのスーツは、今日のス ミズーラのスタイルとは異なるオールドリヴェラーノスタイルで仕立てられており、ディープなリヴェラーノのスタイルを楽しめる。カジュアルなスタイルもトータルで提案。
左:ミリタリーブルゾン¥125,000、シャツ¥49,000、タイ¥23,100、ジーンズ¥49,000 右:スーツ¥500,000、シャツ¥49,000、タイ¥23,100、チーフ¥13,860 all by Liverano & Liverano / Eleganza Sobrietà(エレガンツァ ソブリエタ Tel.086-805-0333)
トータルでスタイルを提案してくれるのも、リヴェラーノ&リヴェラーノの魅力。ブルゾン¥125,000 シャツ¥49,000、ストール¥34,650、ジーンズ¥48,000 Liverano & Liverano / Eleganza Sobrietà(エレガンツァ ソブリエタ Tel.086-805-0333)
本記事は2019年5月25日発売号にて掲載されたものです。
価格等が変更になっている場合がございます。あらかじめご了承ください。
THE RAKE JAPAN EDITION issue 28