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アーカイブが語る007

August 2020

text nick foulkes photography kim lang
special thanks to Eon Productions and the London Film Museum

グウィンへ宛てたショーン・コネリーのサインが記された金塊のブロック。

「ここにはボンド映画が脈々と継承してきた特徴のヒントがあります。スタイルとディテールに対する高い意識が見受けられる。ディテールに対する注意は、使うもの、食べるもの、飲むもの、つまり……ライフスタイル全般に及んでいるんです」

 ボンドが映画シリーズから文化的なプラットフォームへと移行し、映画の枠を超えたさまざまな次元の商品や体験を生み出すにつれて、アーカイブの重要性は高まる。アーカイブは、さまざまな文化を創出する豊かな源泉なのだ。

「こうした要素こそがシリーズの息が長い理由です。制作陣は、今世界で起きている事柄に対して敏感であり続けています。時事に敏感でありながらも、欠点と陰のある、あの核となるキャラクターを保っているんです。フレミングはたしか、ボンドを鈍器と形容していましたね」

 鈍器といっても、そのワードローブには相当キレがあると思うのだが。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 35
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