GOTTCHA

最後のドン、ジョン・ゴッティ

April 2024

地面に横たわるカステラーノの死体(1985年12月)。

ボスとしては失格だった だが彼は、明らかにボスの器ではなかった。公の場では好人物を演じていたが、内輪ではナルシストで怒りっぽい暴君だった。盗聴記録からも、尊敬されることに固執し、なまいきな部下を殺害しようとしたことがわかっている。少しでも侮辱されると激怒した。ある警官が、恥をかかされたゴッティの様子をこう語っている。

「彼の顔はひきつり、こめかみに青筋が立っていた。恐ろしい形相だった」

 外見へのこだわりは、虚栄心や尊大さの表れだった。FBI捜査官のモウは次のように述べている。「彼は自らの名声に執着していた。自分は専制君主や帝王のような存在なのだから、陪審員が有罪の評決を下すはずがない、と思い込んでいた」

 だが、この思い込みが判断ミスを招く。自らが経営するレイヴナイトというクラブで部下の幹部たちと毎週会っていたともらしてしまったのである。FBIにとっては監視装置を設置するなど朝飯前だったので、ゴッティはすぐに起訴された。彼は陪審員を買収して有罪を免れたが、その後もまったく懲りなかった。

 12歳の息子フランクが自転車に乗っているときに交通事故で死亡すると、その事故を起こした隣人を拉致して殺害した。彼が日頃から妻や息子に暴力を振るっていなければ、悲しみにまかせた復讐だと言い逃れできたかもしれない。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 19
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