FNCIACORTA, THE TREASURE OF LOMBARDIA
郷愁の泡、フランチャコルタ。
February 2020
恵まれた丘陵地帯が現れる。美しい湖のバックには、
アルプスの山々が連なる。ここがイタリア随一といわれる
スパークリング・ワイン“フランチャコルタ”の故郷なのだ。
Hotel in FranciacortaL’ALBERETA RELAIS & CHATEAUXラルベレータ ルレ & シャトー
五ツ星ホテル“ラルベレータ ルレ & シャトー”と隣接するブドウ畑。
ミラノから北東へクルマを走らせること1時間、遠くにアルプスの山々が見えてくれば、北イタリアの名勝、イゼオ湖はもうすぐだ。湖畔には、ヨット、クルーザーが並び、湖南のなだらかな丘陵にはブドウ畑が点在している。ここが欧州でも有数のスパークリング・ワイン“フランチャコルタ”を生み出す土地なのだ。 ここで優良なブドウが育つには理由がある。他の有名ワイン生産地と同じく、気候と土である。
気候は、深い深度のイゼオ湖のせいで基本的には温かく保たれている。しかし夜になると、遠くアルプスに降り積もった雪から、カモニカ渓谷を通って冷気が流れ込んでくる。夏でも夕方を過ぎると、急に冷たい風が吹き始める。この昼夜の寒暖の差が美味しいブドウを生むのだ。
また土は“モレーヌ(氷堆石土壌)”と呼ばれる特殊なもので、フランチャコルタのテロワールを決定づけている。これは数万年前の氷河が、周りの岩盤を削りつつ押し集めてきたもので、砂礫・小石などさまざまなものが混ざっている。この土では小麦も馬鈴薯も作れず、作物用としては最悪だが、水はけがよくミネラル分が豊富で、ブドウ作りには向いているのだ。「ここの土壌は、スパークリング・ワインを造るのに実に適しています。イタリアでも最高の土地だと思います。フランチャコルタの特徴は繊細でスムースなことでしょう。飲むと華やかな気分になるのです。女性にもとても好まれます。フランチャコルタは人々に喜びを与える酒なのです」と言うのは大手ワイナリー“ベラヴィスタ”のオーナー、ヴィットリオ・モレッティ氏だ。 同じ製法(瓶内二次発酵)で造られるシャンパーニュとはよく比較されるが、寒さ厳しい北の地に位置するシャンパーニュがより多くの加糖を必要とするのに対し、もともと温暖なフランチャコルタでは、加える糖分は少なくて済む。だから健康にもいいと主張する。ワイン評論家の宮嶋勲氏によると、前者が苦学生なら、後者はボンボンに例えられるそうだ。
シャンパーニュが鮮烈なアタック感を持つのに対し、フランチャコルタはふわりと優しく口中に広がる。
フランチャコルタは、瓶内2次発酵方式で造られるイタリア・ワインの中で初めて統制保証原産地呼称(D.O.C.G)の認定を受けた。その味わいは優しくスムースである。
本記事は2019年9月25日発売号にて掲載されたものです。
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THE RAKE JAPAN EDITION issue 30