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俳優:ジョエル・エドガートン
オーストラリアからやってきた才能

June 2019

映画『華麗なるギャッツビー』、『ブラック・スキャンダル』などへの出演を経て、注目を集めているオーストラリア出身の俳優、ジョエル・エドガートン。
主役を演じることについては未だに慎重になると語るが、これだけ演技力が高く評価されている彼にはそろそろ覚悟が必要かもしれない。
text tom chamberlin
photography gavin bond
fashion direction jo grzeszczuk

Joel Edgerton / ジョエル・エドガートン1974年、オーストラリア生まれ。シドニーの演劇学校を卒業後、兄らと映画制作会社を設立。俳優として着実にキャリアを重ね、『ゼロ・ダーク・サーティ』、『華麗なるギャツビー』に出演。『ザ・ギフト』で長編映画監督デビュー。最新作は『ラビング 愛という名前のふたり』。

スーツ¥300,000 Giorgio Armani シャツ Drake’s
タイ Thom Sweeney チーフ Emma Willis
時計「L.U.C 1937 クラシック」SSケース ¥1,140,000 Chopard

 ハリウッドで確固たる地位を築きつつあるジョエル・エドガートンの生活は多忙を極めている。インタビューを行ったのは、彼が最新作『ラビング 愛という名前のふたり』のプロモーションの合間にプライベートでちょうどニューヨークを訪れていたときのことだった。

 プレス取材を立て続けに受けているセレブリティにインタビューするとき、頭を悩ませるのが話題探しだ。既に長々と語られた内容は避けたい。しかしそうなると、機械的なアンケートだとか、単なる頭の鈍いジャーナリストの楽しみだと思われてしまうかもしれない。ところが彼は本当に人当たりが良く、興味がある話題に関して喜んでインタビューに応じてくれた。オーストラリア人は人懐っこい性格だと聞いたことがある人もいるだろうが、この人ほどそう実感させてくれる人間はいない。

典型的なオーストラリアの少年 ジョエル・エドガートンは、現在活躍する俳優の中で最も魅惑的でダイナミックなひとりといわれるまでになったが、成功への道のりはさほど特別なものではなかった。多くの俳優と同様に、小さなテレビ番組の端役から始まり、ロサンゼルス中の看板を飾る存在へと上り詰めていった。しかし、彼と5分も会話をすれば、非凡さが明らかとなる。

 生まれは、シドニー西部のブラックタウン。ヘムズワース兄弟、ヒュー・ジャックマン、ガイ・ピアース、ケイト・ブランシェット、マーゴット・ロビーら、ハリウッドで活躍するオーストラリア出身の役者は増えているが、オーストラリア文化の土台となっているのは、スポーツやアウトドアレジャーだ。演劇は、多くの子供たちが放課後に取り組むようなものではない。男子の場合は特にそうだ。エドガートンも例外ではなかった。

「子供の頃のヒーローといえば、スポーツ選手だった。実際、今まで出会った有名人の中で一番興奮したのは、セルゲイ・ブブカとボリス・ベッカーだね」

 だが同時に演劇や芝居についても関心を持つようになる。彼が語るその理由は、率直でいじらしいものだった。

「スポーツと演劇は注目を集めるための手段だった。両親の気を引くためのね」

 この言葉に深い意味があるかどうかは別として、エドガートンの家族は紛れもなくクリエイティブな一家である。兄のナッシュは監督兼スタントマンで、ジョエルとともにブルー・タン・フィルムズの一員としても知られている。

フォレストグリーンのカシミアスーツ Bottega Veneta
シャツ Budd Shirtmakers 
タイ Thom Sweeney
チーフ Emma Willis
シューズ John Lobb

本記事は2017年3月24日発売号にて掲載されたものです。
価格等が変更になっている場合がございます。あらかじめご了承ください。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 15

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