August 2018

A FLOATING PARADISE

成功者のみが手にできる水上の楽園

text nick scott
photography piers cunliffe

手作業による丁寧な仕上げがリーヴァの誇りだ。

 また、ハッチの上のサンパッドや、テーブルを囲むC形のソファ、引き出し式のカクテルサーブエリアがホスピタリティを高めている。独立したキッチンやバスルーム、折り畳み式のダブルベッド、ウォールキャビネットや革張りのドアパネルのある船内は、まるでモナコのマリーナに並ぶ純白の大型クルーザーに設けられた特別な客室のようである。

 このモデルは“スピードボート界のフェラーリ”という呼び名に恥じない性能も兼ね備えている。D6-400/DPHボルボ・ペンタ・エンジンの2基掛けで40ノット(時速約74キロメートル)の最高時速を実現する一方で、ジョイスティックで操船すれば、初心者でも楽に横付けすることができる。技術面で特筆すべきは、停泊中の横揺れを抑えるシーキーパーのジャイロスタビライザー(NG5)を搭載していること。シャンパンを飲んでも船酔いは治らないと悟るパーティーピープルにも喜ばれる機能だ。

築き上げた確固たる地位 リーヴァの船は、目には見えないが確かに存在する独自の企業文化を体現するもので、サルニコのボートヤードで働くスタッフ400人の誠実さ、熱意、卓越した職人技の結晶だとガラッシは語る。

「ボートを造るには、高度な技術を持った特別な人材が必要です。彼らは単なる労働者ではなく、ひとりひとりが優れた職人なのです。どんなに若いスタッフでも、入社初日からリーヴァのスピリットを肌で感じて成長していきます。小さな部品ひとつの装着方法をめぐって、製造ラインのスタッフが激しく衝突する様子をご覧になれば、きっと驚かれますよ。まるで自分の船を造っているような熱の入れようですから。こうした文化はどこにも真似できません。だから、リーヴァのボートはサルニコでしか造れない。フェラーリがマラネロでしか造れないように、他の場所では無理なのです」

手仕事が際立つハンドルはスポーツカーをイメージ。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 23
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