Graziano Mazza Interview

唯一無二のプロダクトを
生み出し続けたい

Monday, June 25th, 2018

 

Graziano Mazza

グラツィアーノ・マッツァ

1960年、イタリア・モンテグラナーロ生まれ。1981年、21歳の時に100年近く続くシューズ製造の家業を父から受け継ぎ、生産の工業化を進める。1991年、PREMIATAブランドが誕生。以来、自らがデザイナーとしてシューズを発表。2009年に発売されたLUCYシリーズは世界中のリテーラー2000社以上で取り扱われるほどの成功を収める。2018年5月、銀座に日本初の店舗がオープン。

 

 

 

 メンズファッションにおける近年のスニーカーブームは衰える気配もなく、むしろ拡大の様相を呈している。その中核にあるのは、スポーティブランドのそれではなく、あくまで品のある佇まいを持つ大人のためのスニーカーだ。

 

 歴史ある靴作りで培われた確かなクオリティに、斬新なデザインとファッション性を兼ね備えるイタリアのシューズブランド「プレミアータ」は、2018年5月、日本国内初となる直営路面店を銀座にオープンさせた。この記念すべき日本上陸にあわせてオーナーであるグラツィアーノ・マッツァ氏が来日。インタビューする貴重な機会を得た。

 

 

ブランドの立ち上げ以来、自身がアートディレクターを務めており、イタリア人らしい陽気な人柄の中に芸術家のような鋭い感性と好奇心を光らせる。

 

 

——プレミアータというブランドはどのように誕生したのですか?

 

 イタリアでは地域によって、“ARTIGIANO”と呼ばれる職人やそれぞれの専門家がいて、家族が代々受け継ぐのです。私のファミリーは、1885年から100年以上もマルケ州で靴の生産と販売をしてきました。

 

 この歴史ある家業を引き継ぐタイミングで、父は私にこう言いました、「すべてはお前次第だ」。私は、何か新しいことを立ち上げようと考えました。既にマーケットにあったものとは違うものを、自分で作りたいと思ったのです。その信念を基に、ふたつのカテゴリで展開を始めました。ひとつはクラシックなテイスト、もうひとつはファッション性の高い、新しいデザインのシューズです。

 

 

新作のレザースニーカーは、シンプルなデザインの中にアクセントカラーを効かせて遊び心を表現している。

 

 

——具体的にはどのような新しいものを生み出したのでしょうか。

 

 やはり一番思い入れが強いものは、このクラシックなプレーントゥのオックスフォードシューズです。伝統的な靴作りの技法を継承しつつ、すっきりとしたモードなデザインと、極上の履き心地を兼ね備えています。画期的なポイントは、タンの裏にゴムが入っているため、シューレースがなくても履けること。今日でこそ、あらゆるブランドがこのようなシューレースのないデザインを発表していますが、これは間違いなく私が世の中に最初に出したアイデアです。そして今でもこれが私たちのアイコン的なプロダクトとなっています。

 

 

1999年に発表した、シューレースの無いオックスフォードシューズ(右)。モードな印象も与えられる当時としては斬新なデザインで、履きやすさも抜群だ。

 

 

——プレミアータには、一度見たら忘れられないものが多く、他のブランドに見られないものばかりですね。

 

 そう思っていただけてとても嬉しいです。基本的にプレミアータの最大の魅力は、唯一無二である、と考えています。例えば、「プレミアータ ホワイト」というスニーカーコレクションを世に出したのは1995年でしたが、当時はレザーとナイロンのコンビネーションや、変わったファブリックを採用するブランドはなかった。現在プレミアータはさまざまなラインナップを展開していますが、クラシックなシューズにしても、スニーカーにしても、やはり他にないものを、という気持ちがありますし、みなさんにもそういう印象を商品から感じていただきたいです。

 

 

氏の手前に見えるのが、プレミアータのスニーカーを代表するモデル、ルーシー。ランニングシューズの定型スタイルだが、ナイロンとスエードのコンビネーションでスタイリッシュな印象だ。カタカナの“ホ”に見えるロゴは、ユニオンジャックをアレンジしたデザインのトレードマーク。ソールにはスタンププリントが入る。

 

 

——新しいシューズを生み出すインスピレーションはどこから得るのですか?

 

 私の場合、いつまでに世の中に出そうと期限を設けてアイデアを絞り出すようなことはしません。そうするとありきたりのものになってしまう。ですからそれはもう本当にありふれた日常、例えば趣味に没頭していたり、ご飯を食べているときだったり、そういった生活の中のふとした瞬間で得られるものなのです。最近は少なくなりましたが、以前はよく旅行中にもインスピレーションを得ていました。

 

 

——何か日本で得たインスピレーションはありますか?

 

 以前仕事で日本を訪れた際、どこかの温泉に連れて行ってもらったことがあったんですが、そのときに歴史ある日本の文化に触れることができました。舞妓さんが履いていた厚底靴からヒントを得たんです。それは現在でも継続しているレディースのモデルで、私にとっても日本でインスピレーションを得た思い出深い商品となりました。日本の文化にはたくさんのヒントがあると思っているので、来日するたびに追求したくなるような衝動に駆られます。

 

 

——なぜ今回、銀座に日本初の店舗をオープンしたのでしょうか?

 

 今日現在、私が考える世界のファッションマーケットの中心地だからです。銀座は世界中のブランドが集まっているし、もちろん競争相手も多いですから。2016年には同じ理由でミラノにお店をオープンさせているんですが、銀座店はミラノと同じショップコンセプトとし、同様の店舗デザインを取り入れました。

 

 実はあまり飛行機が好きではないのですが、旅行は本当に大好きで、日本には1996年ごろからほぼ毎年のように来ていました。実は日本でのビジネスも模索してかれこれ30年以上になるんです。

 

 

オープンしたばかりの銀座店は、ミラノの店舗と同様のコンセプトで内装やインテリアを統一。シューズのデザインにみる “遊び心”と共鳴するかのような世界観が広がる。

 

 

——日本のファッション市場にどのような印象をお持ちですか?

 

 日本は以前からビジネスシューズの需要が大きく、重要な市場と考え注目していました。しかし幾度となく日本を訪れるうちに、ヴィンテージが充実していることを知り驚きました。古着のデニムなど、状態の良いものがこれだけ集まるのは世界中探しても日本くらいです。

 

 また、個人的にも興味のある時計の市場には目を見張るものがあります。90年代、ヨーロッパではスウォッチが一世を風靡していた頃、東京では日本の時計ブランドの魅力的な商品が溢れていた。その光景がとても衝撃的で、「これは流行る」と直感し、私も何本か購入しました。帰国すると、たくさんの著名なデザイナーから、「それはなんだ?」と注目されたのを覚えています。

 

 以来、私にとって世界のファッションの中心は東京にあると考えています。

 

 

——自身のファッションのこだわりを教えてください。

 

 ファッションについては、あまり流行を追ったりすることはありません。特に自分を若く見せようとか、おしゃれに見せようという考えもなく、いつもジャケットスタイル。それが私の考える私に似合うスタイルだからです。

 

 靴選びについては、もちろん服とのコーディネイトも考えますが、まず履き心地を重視します。軽くて、歩き回っても疲れないもの。私自身がそこにこだわるのだから、もちろんプレミアータの商品もそこを大切にしています。

 

 例えば、このシューズはヤシの木をソールに使っているんです。ぜひ試してみてください、信じられないくらい軽いんですよ。インソールもふわふわで歩きやすいんです。軽くて履き心地がいいのに、見た目にも新しくて楽しい。それが私たちの靴作りなのです。

 

 

氏も愛用するこのシューズのソールに採用した素材はヤシ。見た目を裏切るほどにやわらかく、驚くほど軽い。

 

 

PREMIATA銀座店

東京都中央区銀座3-3-6銀座モリタビル1F

03-3563-2272

www.premiata.jp/