BOLD COLOURS AND HOW TO WEAR THEM

派手なカラーを、いかに着こなすか?

August 2021

鮮やかな色を好む人もいれば、好まない人もいる。

たまには自分の派手な面を見せ、目立ってみるのも悪くない。

しかしそこには、守るべきルールがある。

分別を持って着こなせば、ワンランク上の自分を表現できるだろう。

 

 

by freddie anderson

 

 

 

 

 かつて流行した、数々のサブカルチャーを思い出してみてほしい。ファッションにおける色の使い方は、彼らのアイデンティティを形成する重要な要素だった。

 

 ゴシック・ロックのファンは黒を好み、ビート・ジェネレーションは万華鏡のような色柄を広めた。さらに遡ると、ジョージア王朝初期のロンドンの貴族階級の子弟は、イタリアへの“グランドツアー”を経て派手で凝った色を好むようになり、それは“マカロニ”ファッションとして知られるようになった。

 

 大胆な色は、ありきたりな装いに個性を与える力がある。とはいえパレットやパターン、ファブリックの間違った使い方をして、噴飯ものの着こなしになるのは避けたいところ。多くの落とし穴が存在するが、適切なバランスを取るための方法もちゃんと存在するのだ。

 

 スプレッツァトゥーラ(さりげないお洒落)の達人、ルカ・ルビナッチを見習おう。パープルのトラウザーズ、ミックスパターン、華やかなベルジャン・ローファーなどを適切に組み合わせれば、実に見事で堂々とした着こなしになる。

 

 

 

テーラード・ジャケット

 

 

 

 大胆な色使いのジャケットを合わせるワザは、ニック・フォルクスとルカ・ルビナッチに学ぶことができる。ハンツマン、リチャード・アンダーソン、ラルディーニなどの強めのチェック柄ジャケットのベストパートナーは、白いシャツである。シャツが白なら、さらに派手な柄のシルクタイを身に着けてもいい。

 

 TVドラマ『マッドメン』の登場人物たちは、このスタイルを見事に表現している。また俳優ロジャー・ムーアは、1974年の『007 黄金銃を持つ男』で、鮮やかなワイドチェックと白シャツの組み合わせを好んでいた。

 

 

 

 

 デニムシャツは大胆なジャケットをスタイリッシュに演出してくれるが、デニムジーンズは必ずしもそうとはいえない。派手な色を着るときは安易にデニムに頼らないでおこう。

 

 着る人のキャラクターにもよるが、大胆な色を使ったテーラード・ウェアは頻繁には着ない方がいい。ここぞというときに袖を通してこそ、効果があるものだ。

 

 

 

 

 

シャツ

 

 派手な色は、全身の中で1アイテムにとどめるのが原則だ。しかし俳優デビッド・ニーヴンは、1972年のインタビューで、ヴィヴィッドなオレンジ色のビスポーク・シャツと同じ色のネクタイを合わせて、例外を示した。その秘密は、ふたつのアイテムを全く同じ色で揃えることだった。

 

 デニムシャツは、派手なテーラード・アイテムを見事に中和してくれる。ルカ・ルビナッチはこの手法の達人だ。デニムシャツを加えることで、ナポリの端正なエレガンスはそのままに、大胆な柄のジャケットをドレスダウンさせ、リラックスさせることが可能なのだ。

 

 

 

 

 

トラウザーズ

 

 当然のことながらルビナッチは大胆な色使いの服を幅広く手がけている。コレクションから登場したのは、レッドのリネンのグルカ・トラウザーズだ。レッドは着こなすのが難しい色。生地が上質でなかったり色出しが悪かったりすると、すべてがダメになってしまう。ルビナッチは1932年の創業以来、イタリアのメンズウェア界に革新をもたらしてきたが、その過程において希少で最高の素材を入手できるようになったのだ。

 

 ルカがやっているように、大胆なカラーのトラウザーズにネイビーのジャケットとニュートラルなストライプのシャツを合わせて、コントラストをつけてみよう。

 

 

 

 

 鮮やかな色を着たときにNGとなるのは、他の鮮やかな色と組み合わせることだ。それぞれの服のヴィヴィッドさが失われてしまうし、頑張りすぎているように見えてしまう。

 

 ちなみにルビナッチではグルカ・トラウザーズだけでなく、“Genny”モデルやドローストリングのレジャー・トラウザーズにも明るい色が使われている。

 

 

 

サファリシャツ

 

 サファリシャツといえば、ベージュ、ネイビー、カーキなどが一般的だ。しかし最近では、鮮やかな赤や黄色を用いてルーツを覆すような商品も現れている。アイリッシュリネンを使用したこれらのサファリシャツは、夏になるとその真価を発揮する。

 

 鮮やかな色のトラウザーズに合わせるのは避け、代わりにナチュラルな色合いのものとコーディネイトする。下にはプレーンなシャツやTシャツのほか、ストライプのバスクシャツを着て、コントラストを効かせるのもいいだろう。

 

 

 

ドレッシングガウン

 

 そもそもドレッシングガウンを考えるとき、大胆な色を使うという概念は消える。なぜなら派手な色が当たり前だからだ。ニュー&リングウッドの華麗な装飾が施されたシルクのドレッシングガウンは、その芸術性と官能性が高く評価されており、あなたに洗練された華やぎを添えてくれるだろう。