THE CRAFTMANSHIP OF ELEGANCE
ス ミズーラの達人たちに聞いた私が仕立てた新作スーツ
June 2023
File 05: 佐藤 英明 Pecora Ginza
DORMEUILの15.7 8Plyで仕立てたPecora Ginzaのスーツ
スーパー160’sの概念を変えてくれた驚異の8プライ ドライなタッチの生地のほうが好みということもあり、今までスーパー120’s以上の生地で自分の服を仕立てたことはほとんどなかったという佐藤英明氏。
「ドーメルの“15.7(フィフティーン ポイント セブン)”はスーパーに換算すると160’sのウールですし、今どき8プライなんて自分にはやや大げさなのでは、と思っていました。が、実際に仕立ててみたら、びっくりするほど素晴らしい生地だったんです。かなりシワになりにくく、ストレッチ性にも優れていて、信じられないほど丈夫ですし、真夏にはさすがに暑いと思いますが、中にニットなどを着れば真冬でも着られる使い勝手のよさを備えています。出張用としてもとても重宝していて、素晴らしい服を手に入れたなって感じです」
今まで極細ウールの生地に抱いていたネガティブな印象も、この生地のよさを体験して、完全に払拭されたとも。
「スーパー160’sの生地って聞くと耐久性に難があると思われがちですが、これは8プライの30番手という太く屈強な糸にして織られているので、自分で着てきた感じでは一般的なスーパー120’sの生地よりもずっとタフだと感じました。超高級原毛を使用しているのに、何も気を遣うことなく着られるレベルの服になるんです」
スーパー160’sに相当するウールを120番手の双糸にし、その双糸どうしを撚り合わせて4プライにし、4プライの糸をさらに撚り合わせた8プライの糸を経糸・緯糸ともに使用した、370g/mのトラベラー生地。
本記事は2023年3月25日発売号にて掲載されたものです。
価格等が変更になっている場合がございます。あらかじめご了承ください。
THE RAKE JAPAN EDITION issue 51