THE CRAFTMANSHIP OF ELEGANCE
ス ミズーラの達人たちに聞いた私が仕立てた新作スーツ
June 2023
photography setsuo sugiyama
File 04: 鏡 陽介 Isetan Mitsukoshi
TAYLOR&LODGEのLumb’s Golden Bale Milled Worstedで仕立てたLid Tailorのスーツ
追撚をかけたスペシャルなラムズゴールデンベール「もともとはゴリゴリの英国生地が好きだったのですが、最近は今回のTHE RAKEさんが特集しているようなラグジュアリーな原毛をあえて太い糸にして織り上げた生地のほうが断然好みですね」と話す、鏡陽介氏。バイヤー時代、今日のビスポークスーツ界で名作として君臨している数々の生地を企画してきたことでも知られ、ビスポーク市場を席巻しているドーメルの15.7 4プライ(スーパー160’sに相当する15.7マイクロンの糸を)を企画した人物であり、スーパー180’sの40番手単糸で流通していたドラゴの“スカイフォール”を、40番単糸を掛け合わせて双糸使いにした別注生地を企画したり。そんな鏡氏の最近のお気に入りは、数年前に織られたラムズゴールデンベールの生地で仕立てたリッドテーラーのビスポークスーツだ。
「もともとラムズゴールデンベールの生地は80~90番手の双糸使いが一般的でしたが、こちらは60~70番手台くらいまで追撚をかけた糸で織り上げていて、仕上げ工程で縮絨をかけて起毛させ、密度を高めたものなんです。シワ回復力に優れていてドレープ性も高く、仕立て映えがして軽いのが魅力です。柔らかさとしっかりした風合い、耐久性の高さを備えているところも気に入ってます」
ウールの詳細は明かされていないが、大変上質な原毛を厳選している。現在、同ウールの商標は他のブランドが所有し、テーラー&ロッジとしては日本国内での流通がされていない。
本記事は2023年3月25日発売号にて掲載されたものです。
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THE RAKE JAPAN EDITION issue 51