THE CRAFTMANSHIP OF ELEGANCE
ス ミズーラの達人たちに聞いた私が仕立てた新作スーツ
June 2023
File 03: 上木規至 Ciccio Japan
ENGLISH SILVERNのTriumph Twillで仕立てたSartoria Ciccioのスーツ
今まで仕立ててきた中で最も素晴らしい生地のひとつ 上木氏はずっと以前からしなやかな高級生地を好んできた。着る側としては、肌触りがよく断然心地よいから。作り手としては、美しく仕立てるのが難しいぶん、作り甲斐があるから、というのがその理由だ。ただし、どんなに素晴らしいタッチの生地であっても、それが本当に素晴らしいものであるかを手で触っただけで判断するのは今でも難しいという。それゆえ、最近は先にサンプルを作り、そのなかでよかったものをお客様に提案している。今まで作ってきたなかでは、ドブクロス、ラムズゴールデンベール、やや繊細にはなるがエスコリアルがお気に入りだというが、総合力の高さで最も惚れ込んでいるのが、生地商社の銀座サワモトのオリジナルブランド、イングリッシュ シルヴァーンのトライアンフツイルだ。スーパー150’sを94番双糸にし、通常の2/2ではなく3/3の綾目がしっかり立ったツイルに織り上げた英国生地である。
「トライアンフツイルは地のしした後も地の目が歪まないので、常に整った状態で裁断できるんです。アイロンワークも大変決まりやすく、すなわちとても仕立て映えがする生地なんです。型崩れがしにくく長く着られるなど、耐久性の高さも備えていて、パンツのクリースも取れにくい。とてもしっとりしたタッチで、しなやかでありながらしっかりコシがある点がお気に入りの理由です」
300~320g/mで、真夏を除いた10マンススーツとして提案している。しっとりしていて肌に触れるパンツは特に気持ちいい。こちらの艶ありのほか、上木氏がリクエストした艶なしのタイプもある。
本記事は2023年3月25日発売号にて掲載されたものです。
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THE RAKE JAPAN EDITION issue 51