THE CRAFTMANSHIP OF ELEGANCE
ス ミズーラの達人たちに聞いた私が仕立てた新作スーツ
June 2023
photography giulio grisendi
File 02: 宮平康太郎 Sartoria Corcos
ERMENEGILDO ZEGNAのWorsted Flannnelで仕立てたSartoria Corcosのスーツ
フィレンツェでは定番!ゼニアが織り上げた梳毛フランネル フィレンツェ人のように、ドライなタッチ、曖昧な中間色、枯れた感じの色、それらの美しい組み合わせを好む。かといって地に根付いた文化という惰性での生地選びはせず、こだわりを突き詰め、琴線に触れる生地を情熱的に探し求めている。一方で、宮平氏の審美眼をクリアした例外の生地も多々あり、客の好みや国籍、肌の色に応じて柔軟に提案してくれるのも、氏の魅力である。
今回、ご紹介するのは450g/mのウェイトがある、エルメネジルド ゼニアがサルトリア向けに織り上げている、知る人ぞ知るウーステッドフランネルだ。日本ではまったく知られていないが、フィレンツェのサルトリアでは大変人気の生地である。
「ゼニアのフランネルと聞いて意外に思われるかもしれませんが、セミナーラでも私が修業していた頃から扱っていた生地で、細く上質な梳毛を用いながら、コシがあってしなやかで、それでいてタフさも備えた、見事な風合いに織り上げられています。アイスグレイ的な色合いがとてもきれいでラグジュアリーな雰囲気も備えており、とても色っぽいんです」と宮平氏。
こちらはよくよく聞いたら10年前に仕立てたスーツとのことで今回のテーマから外れているのだが、THE RAKEが提案したい今の気分の生地ということで、特別枠(笑)。
ゼニアが手がけた450g/mの梳毛フランネルという点だけでも大変興味深いのだが、ガシッとしつつもしなやかさな風合いで、アイスブルーの色合いといい上品さも備えている。これを機に日本でも注目されそうな予感だ。
本記事は2023年3月25日発売号にて掲載されたものです。
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THE RAKE JAPAN EDITION issue 51