L'EPEE 1839 “Balthazar”

最高級が放つ最高の遊び心

November 2021

新約聖書の東方三博士の名に由来する「バルタザール」。腕回り部分は可動式で、胴体部分は回転する。パワーリザーブ表示、レトログラード20秒表示、ムーンフェイズを搭載する自社製手巻き式ムーブメントのパワーリザーブは約30日。素材は真鍮とイエローゴールドPVDコーティングしたステンレススティールで、頭部はブロンズ(ニッケルメッキ)製。H39.4×W23.8×D12.4cm。重さは約8.2kg。世界限定50ピース。 L’Epee 1839

 

 

 

 

「お前に暗黒のパワーのすごさがわかっていれば」。ダース・ベイダーがルーク・スカイウォーカーに話したように、人間は誰しも黒い一面を持つ。このロボットも同様だ。ジャンピングアワーとミニッツ表示の胴体を持つ彼は、いかにもSF映画のロボットよろしく、愛嬌たっぷりの表情で微笑む。赤い瞳孔は、20秒で端から端へと戻るレトログラード表示セコンドである。しかし腰を180度ターンさせると、胸部にムーンフェイズを備えたスカルフェイスのダークサイドが露わになる―。

 

 斬新な二面性ロボット型の機械式置時計を生み出したのは、創業から180年以上の歴史を持つ「レペ」。今日において、高級置時計の製造に特化したスイス唯一の専門メーカーである。ヨハネ・パウロ2世のデスククロックやエリザベス2世女王戴冠50周年記念のクロックを製作するなど、技術力も高く評価されてきた老舗だが、近年は新進気鋭のデザイナーを起用するなど、アーティスティックな表現にも果敢に挑戦して注目を集める。

 

 写真の「バルタザール」は、独創的なウォッチメイキングで知られるコンセプトラボ「MB&F」とのコラボレーションコレクションのひとつ。ユニークなコンセプトは、長い歴史によって培われた技術力を持ってこそ成し遂げられる。この贅沢な遊び心、何ともラグジュアリーではないか。