高級タイもサステナブルの時代

マリネッラは1914年、初代エウジェニオ・マリネッラによって、ナポリ・キアイア通りにて創業された。今ではナポリにおけるクラフツマンシップの代名詞的存在となっている。オレンジファイバー・タイは、マリネッラが最も得意とする小紋柄にて展開される。それぞれの小紋には必ずテーマカラーであるオレンジ色が使われている。

　ファッションにおいても、サステナブルであるかどうかが問われる時代がやってきた。そんな中、イタリア・ナポリにて最高峰のネクタイを作り続けているマリネッラから注目の1本がリリースされた。オレンジの皮から生成した繊維が使われた、オレンジファイバー・タイである。

　シチリア、カターニアではオレンジジュースを作る過程で、年間70〜100万トンという大量の皮が排出されることが問題となっていた。そこで素材メーカーであるオレンジファイバー社とミラノ工科大学は、オレンジの皮からセルロースを抽出して繊維にする技術を共同開発。シルクとほとんど変わらない滑らかさを持つ新素材を生み出すことに成功した。シルクと比べるとややソフトだが、そこはもちろんマリネッラだけあって、生地に合わせた芯地をチョイスし、変わらぬ締め心地を実現している。

　このタイは、2021年10月にローマで行われたG20サミットにおいて、イタリア政府の公式プレゼントとして採用された。洋装の要であるネクタイに、エコ素材が使われることは、サステナビリティのよきシンボルとなるであろう。

オレンジ色のタグがオレンジファイバー・タイのトレードマーク。マリネッラらしく、表地と同じ生地が裏地にも使われている。長さ約147cm、大剣幅8.5cm。ポケットチーフやスカーフも展開予定。¥33,000 E.Marinella（マリネッラ ナポリ 東京ミッドタウン Tel.03-5413-7651）