A RAKISH GUIDE TO TIES
お洒落なネクタイの選び方
March 2020
ファブリック
クラシックなシルク織物は、ビジネスウェアとして常に王道である。最高のソリッドシルク地とプリントシルク地は、英国の絹産業の本拠地、マックルズフィールドで作られたものだ。この点において、イタリアのワークショップと英国のハバーダッシャリー(紳士装身具店)は意見が一致している。数少ない現存する工場では、ヘビーシルクに鮮明なデザインを与えるため、手作業でスクリーンプリントが行われている。
クラシックな模様としては、小さな花柄や紋章などの繰り返しパターン(“ニーツ”と呼ばれる)と、ストライプ(古い英国のジェントルメンズ・クラブや騎兵連隊、スクールカラーにその出自を持つ)がある。
これらのデザインは何世代にもわたって英国のメーカーにより使用されているばかりでなく、ラルフ・ローレンのようなアメリカ人、英国風趣味を好むフランス人、アイビースタイルに熱心な日本人、そしてマリネッラやカペッリなどのナポリの職人によっても賞賛されている。
ロンバルディア州から来たクラシックなシルク織物“グレナディン”は、今でも伝統的な織機で作られている。グレナディンは、細かい“ガルザ・ピッコロ”(文字通り、小さなガーゼ)から、風通しの良い“ガルザ・グロッサ”(大きなガーゼ)まで、さまざまな織り方で作られている。遠くから見ると、グレナディンはマットな質感を持っている。しかしすぐ近くで見ると、小さな結び目の連続による細かいメッシュであることがわかる。
ショーン・コネリーのジェームズ・ボンドは、英国でネイビーのグレナディン・タイを一般化した。そしてそれは今でも、フォーマルなオケージョンにおいて、非の打ち所のないチョイスである。しかしストライプや手刺繍によるピンドット柄も見逃さないでほしい。