‘WHEN SOMEONE LOOKS AT A PORTRAIT, I WANT THEM TO FEEL ENGAGED-LIKE THEY’RE IN A CONVERSATION’

チャールズ新国王戴冠式のカメラマン秘話

November 2023

royal photography hugo burnand
text tom chamberlin
special thanks to mark’s club
photography kim lang

右手に王笏、左手にオーブを持ち、頭に大英帝国王冠を被り、ローブオブエステートを纏ったチャールズ3世国王戴冠時の写真。

 戴冠式当日にロンドン市内を移動するのはかなり大変なことでした。ですから、私と私のチームは、朝、自転車で宮殿に行き、一日中宮殿内に滞在しました。王座の間は、私たちの第二の故郷になりました。これは当日使用したカメラのひとつです。私はこのカメラが大好きです。フィルムの時代には、中判のハッセルブラッドを愛用していました。もう11年も使っていませんが、いまだに所持しています。

 以前は、デジタル・ポートレイトに馴染めませんでした。しかし、このカメラ(富士フイルムGFX100S)を手にして、ポートレイトを撮ってみたとき、違いを感じました。工芸品、貿易、芸術、情熱、何であれ、私がこれまで愛してやまなかったものに、再び情熱を注がせてくれたのです。かつてハッセルブラッドに感じていたことを思い出させてくれました。

 富士フイルムは、フィルムの需要がなくなったと判断したとき、本当に面白いデジタルカメラを作ることに力を注ぎました。写真やフィルムが大好きな人たちが集まって作ったカメラなので、他のデジタルカメラとは発想が全く違うのです。

 私の仕事では、撮り直しは許されません。ですからバックアップは絶対に必要です。例えば、照明が壊れたときのために、照明のバックアップを用意します。さらにバックアップのバックアップも用意しています。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 54
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