October 2023

VITALE BARBERIS CANONICO × MITSUKOSHI 710th ANNIVERSARY FABRIC

ヴィターレ・バルベリス・カノニコ創業360周年×三越創業350周年を記念した「ボーソレイユ」

イタリアのヴィターレ・バルベリス・カノニコと日本の三越の歴史を足すと、なんと創業710周年。それを祝ったコラボレーション服地「ボーソレイユ」が実に美しい。
text yuko fujita
photography jun udagawa
styling akihiro shikata

Beausoleil(ボーソレイユ)太く粗野な原毛をあえて用いた21マイクロンシリーズは、今日のVBCを代表する人気服地となっている。従来のイタリア生地にはあまり見られなかった耐久性の高さを実現し、美しさを備え、大変仕立て映えのする服地であるからだ。VBCと三越の歴史を足した710周年アニバーサリーの「ボーソレイユ」は、経糸・緯糸ともに超強撚にした54番手の双糸で織り上げられ、ウェイトは370g/m。タフで見事な実用性を備え、絶妙なメランジ感がなんともいえず色っぽいではないか。4色展開。

 創業350周年を迎えた三越は、今年さまざまなブランド・企業と魅力溢れるコラボレーションを展開しているが、服地においてはヴィターレ・バルベリス・カノニコ(VBC)と素晴らしいコラボレーションを実現した。VBCの創業は1663年だから、合わせて創業710周年。今回実現したエクスクルーシブファブリックの耳には“710 YEARS OF EXCELLENCE”の文字が記されている。

 1990年代前半、セルジオ・ロロピアーナ氏やアルフレード・カネッサ氏らイタリアを代表する洒落者たちが着ていたことで人気に火がついた“ソラーロ”は、今や世界中の洒落者たちに欠かせない定番生地となっているが、VBCの「ボーソレイユ」はそれらと同じ織りをしており、太陽光の反射でときに玉虫色に映るのが特徴だ。それを、定番のベージュではなくブルーグレー、ネイビーブルー、ブラウン、グリーンがかったグレーでアレンジしている。

21マイクロンシリーズが人気なのは、ときに英国生地を上回るタフさを備えながら、イタリアならではの卓越した色彩の表現力を備えているからだ。同シリーズの代表的なところでは、6プライ、カバート、フランネル、ラスティック・トロピカルなどがあげられる。360年の歴史を誇るVBCは、本社に膨大なアーカイブが保存されている。そこから企画のヒントを得ながら紡績、染色、機織、仕上げに至るまですべて自社で行っており、糸の組成から色表現まで徹底して研究し、こだわることができるのが彼らの強みだ。

 自然なままに飼育された羊の毛を刈り取った21マイクロンのノン・ミュールズド・ウール(ミュールジングされていない羊の原毛)はVBCのサステナビリティを代表するもので、それを超強撚の糸に紡いでいるため、防シワ性、シワ回復力、耐久性、通気性に優れる。英国の生地同様、経糸・緯糸ともに双糸で織り上げられており、素晴らしい仕立て映え感である。

「ヴィターレ・バルベリス・カノニコの360周年と三越の350周年という特別な瞬間をともに祝えたことを大変光栄に思っています。生地に入ったセルビッジは710年にわたる両社の卓越した歴史を物語り、最高の品質を目指し、伝統とクラフツマンシップを大切にしながら情熱をもって日々取り組んできた証です」と、フランチェスコ・バルベリス・カノニコ氏。さらに、英国王チャールズ3世の後援によって組織されたザ・キャンペーン・フォー・ウールも、「アニバーサリー・ファブリックの創造性に宿る、ウールの自然な持続可能性と優れた特性、ヴィターレ・バルベリス・カノニコの伝統とヘリテージを支援します」とコメントを寄せている。

 この服地、“今”を感じるクラシックな色気を備えているのがいい!

Francesco Barberis Canonico / フランチェスコ・ベルベリス・カノニコヴィターレ・バルベリス・カノニコの13代目で、クリエイティブ・ディレクターを務める。イタリアではもちろん、サヴィル・ロウでもビスポークを嗜む、イタリアの生地メーカーきってのウェルドレッサー。氏の嗜好性の高さを反映した生地コレクションがVBCの強みだ。

710周年の「ボーソレイユ」は秋冬にふさわしい色合いで4色をラインナップ!

左:Beausoleilで仕立てたHideaki Sato(ヒデアキ サトウ)独特のブルーグレーと霜降り感が大変美しく、その一方でヴィンテージファブリックに見られるような男らしいテイストを備えた「ボーソレイユ」。ヒデアキ サトウのダブルブレステッドは、ミラノスタイルの第一人者である佐藤英明氏らしく、仕立てのバランスがとても洗練されている。よい趣味の領域の美しきフツウのスタイルに、ボーソレイユの個性がいい塩梅でミックスされている。国内縫製のメイド・トゥ・メジャーで、納期は約5週間。スーツ¥285,000(オーダー価格)Hideaki Sato / Nihombashi Mitsukoshi(日本橋三越本店 TEL.03-3241-3311) ニット¥41,800 John Smedley(リーミルズ エージェンシー TEL.03-5784-1238) スカーフ¥17,600 Vincenzo Miozza / Mashimo & Co(真下商事 TEL.03-6412-7081)

右:Beausoleilで仕立てたHenry Poole(ヘンリー・プール)1806年の創業で、今日のサヴィル・ロウのテーラーでは最古の歴史を誇るヘンリー・プールの伝統的なカットを踏襲した「メイフェア」というモデル。21マイクロンウールの「ボーソレイユ」は従来のサンクロスに近い色味でありながら、秋冬に着るのにとてもしっくりくる深みのある色合い。サヴィル・ロウのスーツにふさわしく、仕立てが見事に映えている。国内縫製のメイド・トゥ・メジャーで、納期は約5週間。スーツ¥328,900(オーダー価格) Henry Poole / Nihombashi Mitsukoshi(日本橋三越本店 TEL.03-3241-3311) シャツ¥27,280 Bryceland’s、チーフ¥9,680 Simonnot Godard / both by Bryceland’s Co.(ブライスランズ&コー TEL.03-6721-0133) タイ¥19,800 Holliday & Brown / Beams F(ビームスF TEL.03-3470-3946)

左:Beausoleilで仕立てたCIFONELLI(チフォネリ)グレーベースでありながら緯糸にグリーンの糸が入っており、さりげなくグリーンがかった独特のトーン。絶妙な霜降り感といい、英国生地にはないこういった色気を表現できるのがVBCの魅力だ。ラペルのカーブがなんともエモーショナルで格調高い、パリの名門チフォネリの一着。南アメリカ産のウールをあえて太く紡いだ糸で織り上げた「ボーソレイユ」は、ニットを合わせたスタイリングにもすんなり溶け込む。国内縫製のメイド・トゥ・メジャーで、納期は約5週間。スーツ¥258,500(オーダー価格)Cifonelli / Nihombashi Mitsukoshi(日本橋三越本店 TEL.03-3241-3311) ニット¥59,400 Cruciani / Strasburgo Customer Center(ストラスブルゴ カスタマーセンター TEL.0120-383-563) スカーフ¥17,600 Vincenzo Miozza / Mashimo & Co(真下商事 TEL.03-6412-7081)

右:Beausoleilで仕立てたRichard Anderson(リチャード アンダーソン)17歳でサヴィル・ロウの名門ハンツマンの門を叩き、34歳で同店のヘッドカッターに就任。2001年にサヴィル・ロウ13番地に自身のテーラーを構えたリチャード・アンダーソン氏の服は、構築的でクリーンにコンケーブした肩のライン、裾に向かってフレアした、縦にスラッと長く見えるシルエットが特徴だ。彼の服を英国生地にはない美しい表情をしたブルーの「ボーソレイユ」で仕立てられるのは、日本だけの特権だ。国内縫製のメイド・トゥ・メジャーで、納期は約5週間。スーツ¥220,000(オーダー価格)Richard Anderson / Nihombashi Mitsukoshi(日本橋三越本店 TEL.03-3241-3311) シャツ¥33,000 Errico Formicola、タイ¥20,900 Francesco Marino / both by Beams F(ビームスF TEL.03-3470-3946) チーフ property of stylist

日本橋三越本店にてVBCフェアを開催!

10月11日(水) 〜 24日(火)

日本橋三越本店本館2階 パーソナルオーダーサロンにて、上記日程でVBCフェアが開催される。期間中は今回ご紹介している「ボーソレイユ」を筆頭に、ずっと時代を牽引してきたVBCの名作服地が数多く並ぶ予定だ。21マイクロンシリーズをぜひ比べてみてほしい。

本記事は2023年9月25日発売号にて掲載されたものです。
価格等が変更になっている場合がございます。あらかじめご了承ください。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 54

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