What is NEW LUXURY? vol.05

キーパーソンに訊いた、これからの
“ニューラグジュアリー”とは? vol.05

February 2021

text & direction yoshimi hasegawa
photography massi ninni

KEY PERSON 05
ファビオ・アッタナシオ氏
ニューノーマルで高まるビスポークの価値

Fabio Attanasio / ファビオ・アッタナシオ1987年ナポリに生まれる。19歳のときにミラノに移住する。ミラノ、ボッコーニ大学卒。2012年、イタリア語と英語のブログ「ザ・ビスポーク・デュード」を開始、大きな話題となる。2015年、ビスポーク・デュード・アイウェアの共同創設者としてアイウェア事業を開始。2020年にはニットウェアを扱うフリースミラノの共同創設者に。

スミス&ウールンズのオリジナルソラーロで仕立てたシングルブレスティッド、3ボタンのフロレンティーン・スタイルのスーツは若きテーラーデュオ、ガブリエレ・コルヴィーノ&ベルナルド・ラ・ガルディアによるもの。タイはF. マリーノ・ナポリ、アイウェアはもちろん自身のブランド、TBD(ザ・ビスポーク・デュード)アイウェア製だ。

 イタリアのクラシックメンズウェアを紹介するブログ「ザ・ビスポーク・デュード」を主宰するファビオ・アッタナシオ氏。彼は今ミラノにいる。

 インスタグラムのフォロワーは24.7万人を誇り、今やイタリアンスタイルを代表するひとりだ。自らが愛するビスポークスーツの価値こそ、ニューラグジュアリーになり得るとファビオはいう。

「それは絶対的なものです。選択肢が多い中でなぜテーラーに行くのか。そこには情熱があり、特別な経験があるからです。ビスポークスーツを買うということはスーツ単体を買っているわけではありません。スーツをオーダーするという体験すべてを買っているのです。シチリアのサルト、マウロ・クリーミはこう言っています。『当店にはアメリカから来るお客様もいます。その方にとって、ここに来るまでの旅そのものが注文服を作るプロセスのひとつなのです』。私たちがこの情熱について語る時、他に置き換えることはできない、この時代だからこそ特別な何かであると私は信じています」

ソラーロのスーツに合わせたブレイシスはシブミ フィレンツェ。

 ヨーロッパ諸国でもドイツ、スカンジナビア、英国といった国々はサスティナビリティに注意を払ってきたが、イタリア、特にクラシックメンズウェアの世界ではサスティナビリティへの関心は薄かった。だが、パンデミック以後、大きな変化が起きているらしい。

「終息後も以前と同じオールドノーマルに戻るとは思えません。どこに旅行に行くか、何を買うか、どうやって作られているか、消費者は環境に対する負荷をもっと考えるようになる。これは企業家側の責任でもあります。私のアイウエアブランドTBDでもサスティナブルコレクションを発表しました。地球環境だけでなく、個人の肉体的、精神的な部分もケアする必要があると思ったからです。私は相変わらずシガーとウィスキーとバイクを楽しんでいますが、ヨガも楽しんでいます。ニューノーマルは古い習慣と新しい習慣をミックスしたものとなるでしょう」

環境への負荷を考え開発したTBDのサスティナブルコレクションも発表。綿と木材パルプ繊維から製造された化合物バイオアセテートから作られ、100%生分解性、リサイクル可能だ。
www.thebespokedudeseyewear.com

ロロ・ピアーナのウール&シルクブレンド生地で仕立てたサルトリア・ダルクオーレ製スポーツジャケット、カシミアのベストはザ・フリース・ミラノ。タイはヴェラスカ by ファビオ・アッタナシオ。シャツは家族代々のシャツメーカーで仕立てたもの。コンストラクションはフロレンティーンにナポリタンとさまざまでも、シングルブレスティッドの3ボタンが定番だ。

趣味のバイクはミラノにBMW R Nine Tスクランブラー、ナポリにモト・グッツィV7 ストーンを所有。バイクの好みもクラシックを現代風に解釈し、すべてが一貫している。

本記事は2020年11月25日発売号にて掲載されたものです。
価格等が変更になっている場合がございます。あらかじめご了承ください。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 37

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