THE RAKE ON NEW LUXURY 01
欧州のラグジュアリーを最も知る
ビスポークシューメーカー
December 2020
視線が面白い
ビスポークシューメーカー、スピーゴラの鈴木幸次が
プレタポルテを発表し、いよいよ動き出した。
2021年、新しいラグジュアリーを築くのは必至だ。
上から、ビスポークのクロコダイル製Uチップ¥800,000(オーダー価格)Spigola、メイド・トゥ・メジャーの九分仕立てダブルモンク¥204,000〜(オーダー価格)Spigola Capolavoro/both by Spigola(スピーゴラ Tel.078-641-1343) サドルにクロコダイルを使用したプレタポルテのスエードスリッポン¥98,000 Spigola Leggera、プレタポルテのラスティカーフ製キャップトウ¥154,000 Spigola、プレタポルテのスエードタッセルスリッポン¥88,000 Spigola、プレタポルテのパンチドキャップトウ¥154,000 Spigola/all by Afterhours
スピーゴラの鈴木幸次さんは自分と同い年ということもあり、彼の世界での活躍話を耳にするといつもとても嬉しく、同時に彼なら当然だと妙に納得する自分もいたりする。実際に海外でご一緒する機会が何度かあったなかで、彼は単に豊富な経験を積んだ靴職人ではなく、お客さんの優雅なライフスタイルのひとかけらを一緒になって作り上げている靴職人であるということを強く感じた。日々靴だけを見ているのではなく、たくさんの美しいものに触れ、エレガンスを、そして豊かな人生とは何かを知るからこそ、彼は海外を含めて人気があるのだと思う。
その幸次さんが先日プレタポルテを発表し、軽やかなスリッポンのシリーズが登場した。そこにもしっかり幸次さんの世界があって、同時にこだわり抜いたクオリティの高さがあり、だから今回も見た瞬間に自然と憧れが生まれてきた。ドレスシューズの美しさは一目瞭然だが、カジュアルなスリッポンもまた、幸次さんでなければ生まれ得なかった靴だとすら思っている。理由を見ていこう。
Koji Suzuki / 鈴木幸次1976年神戸生まれ。1997年にイタリアに渡り、当時フィレンツェの若き靴職人として注目されていたロベルト・ウゴリーニ氏のもとで修業を積む。2001年に帰国し、地元神戸でビスポークシューズブランド「スピーゴラ」を始動。ちなみにスピーゴラはイタリア語で「鱸(スズキ)」の意。自分の名前をイタリア語読みした屋号をつけた走りは幸次さんだ。
日本人の足元は新たなステージへと突入した イタリアでは仕立て服を着たエレガントな紳士をよく見かけるが、彼らの足元は多くの場合、シャープなドレスシューズではなく軽やかなマッケイのスリッポンだったりする。サルトリア仕立ての服を着ることはイタリアの紳士にとって日常のことで、足元にも気負いがなく、それがある意味で達観した感のあるエレガンスを生み出しているのだ。
「日本も仕立ての文化が成熟してきた今、こういう軽やかでリラックス感のあるスリッポンを足元に合わせても面白いのかなと。ソールに少し厚みをもたせているので街履きでも快適です」と幸次さん。
今後はスーツの足元も軽やかに決めるのが、新しいラグジュアリーとして面白いんじゃないかな。
2021年は4つのラインとともにSPIGOLAが世界を席巻する
SPIGOLA
(Bespoke)鈴木幸次さんにミドルネームをつけるとすれば、コッコドリッロ(クロコダイル)しかないというくらい、クロコダイルの見事な使い手だ。男らしくもグラマラスなスピーゴラの靴によく合う。幸次さんはクロコをジーンズによく合わせているが、それがまたカッコいい。イタリア的な仕立て服に溶け込む薫りもある。¥420,000〜(クロコダイルは¥800,000)で、納期は約1年〜。Spigola(スピーゴラ Tel.078-641-1343)
SPIGOLA CAPOLAVORO
(MTM)カポラヴォーロは、底付け以外のすべての工程をスピーゴラの工房内で手がけている、九分仕立てのメイド・トゥ・メジャー。足に合わせての調整は、木型にのせていくかたちで可能だ。パッと見ただけではなかなかビスポークとの区別はつかない。実物を前にすると欲しくなること確実だ。納期は約半年〜なのが嬉しい。¥204,000〜。Spigola Capolavoro/Spigola(スピーゴラ Tel.078-641-1343)
SPIGOLA
(RTW)10月にデビューした、グッドイヤーウェルト製法によるプレタポルテ。さすがのエレガンスを醸し出している。作りを見ると、ウエストはマッケイにして絞り込み、きれいな丸コバに仕上げていたり、ウェルトのウィールの力強い入り方や、ピッチトヒールなど、個々のこだわりのディテールが美しさをさらに彩っている。革はイルチェアのミュージアムカーフ。¥162,000 Spigola/Afterhours
SPIGOLA LEGGERA
(RTW)昨今のスーツやジャケパンの足元はこのくらいのヌケ感がいいのかなと思っている。履いたらその柔らかさと雰囲気の虜になってしまい、個人的にもかなり愛用している。頑張った感じがないところがよく、幸次さんもそこを狙ったとのことで、このタイミングでこれを仕かけてくるところがサスガだなと思った次第。¥88,000 Spigola Leggera/Afterhours
本記事は2020年11月25日発売号にて掲載されたものです。
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THE RAKE JAPAN EDITION issue 37
Contents
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