December 2022

The OLD Romantics

オールド・ロマンティックス:デュラン・デュラン

text stuart husband

『007/美しき獲物たち』のプレミアにて、ダイアナ妃と謁見するデュラン・デュラン(1985年)。

 今にして思えば、デュラン・デュランがなぜ批評家から非難を浴びたのか、その理由は容易に理解できる。彼らは、同業者と比べると、田舎者のように見えたのだ。彼らはバーミンガムから来たが、バーミンガムは必ず“セカンド”として形容されるような都市だった。カルチャー・クラブのようなパンセクシャルな魅力もなければ、スパンダー・バレエのような美学もなかった。

 ヴォーカルのサイモン・ル・ボンは、ピンクのヒョウ柄パンツでオーディションを受けたが、フロントマンになるには子犬のような丸ぽちゃで、クールさに欠けていた。リーダー格のニック・ローズは、アイラインを引き、髪を逆立てていたが、シンセサイザーの前に座っている彼は、まるで平板なデヴィッド・シルヴィアンのようだった。そして、残りのメンバーは皆“テイラー”という苗字だったが血縁関係はなかった。

 ベーシストのジョン・テイラーによれば、彼らが目指したのは「シックとセックス・ピストルズを掛け合わせたようなバンド」になることだった。バンド名はジェーン・フォンダが主演したSF映画『バーバレラ』(1968年)でミロ・オーシャが演じた悪役“デュラン・デュラン博士”よりとられた。デビュー・シングル『プラネット・アース』の中では歌詞として“ニュー・ロマンティック”という言葉を使っている。

 ル・ボンは昨年、『ヴォーグ』誌に語っている。

「パンクの後、すべての音楽が少し気怠くて、退屈なものになった。僕たちはグラム的な要素、ファンク、スタジオ54のような華やかさなど、ちょっと過激なものを取り込みたかったんだ」

THE RAKE JAPAN EDITION issue 47
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