THE CHILD IN TIME

やがて美女になる美少女、ブルック・シールズ

April 2024

華麗に歳を重ねて 危険だらけの子役時代を経て、ひっそりと学園生活を過ごした後、再び世に現れたブルックはすっかり成熟した女性になっていた。説得力のある弁舌と威勢のいい態度は、その美しさを際立たせていた。こうした気質が顕著に表れたのは、2012年に他界した母親を擁護するときだった。ブルックは自叙伝において、テリーのアルコール依存や時に激しすぎた野心についてありのままを語る一方、次のような意見も述べている。

「最近は子役より、その母親が注目を浴びている。話題になるのはいつも母親の装いやスタイルばかり。私の母が異なっていた点は、度胸があって私のためにいつも奮闘してくれたけど、自分が写真を撮られることをひどく嫌がったこと」

 ブルック・シールズほど子役の母親に対してコメントするのにふさわしい立場にある人はいないだろう。彼女は自身の経験を踏まえて積極的にコメントしている。自著では、2003年に娘が誕生した後、産後うつ病と自殺願望に見舞われた経験を率直に記した。2年後、彼女はトム・クルーズと大喧嘩をすることになるのだが、その原因は、トムが抗うつ薬の使用を批判したことだった。服薬を「無責任」と責めるトムに対し、彼女はこう応じた。

「トムは宇宙人から世界を救う仕事に専念して、産後うつ病の女性たちには自分に最適な治療法を選ばせてあげるべきよ」

 ここに至るまでに、ゴシップ紙の格好のネタになる出来事もいくつか起きた。テニスプレイヤーのアンドレ・アガシとの結婚もそのひとつだ。アガシは自伝の中で「ふたりで一緒にいた期間のうち、最初はずっとクリスタル・メス中毒だった」と告白している。それが彼に大胆なプレーの才能をもたらしたということか。

 仕事に関していえば、ブルック・シールズは子役としてのキャリアを大人のキャリアへ発展させるという、ハリウッドでも珍しい成功を収めている。しかも、そのキャリアは実に変化に富んでいる。アメリカの深夜テレビ番組に何度も登場したり、人気コメディ『ブルック・シールズのハロー!スーザン』に出演する一方、ブロードウェイやウエスト・エンドでは『シカゴ』、『アダムス・ファミリー』、『キャバレー』といったショーで美しい歌声を披露した。

 彼女は今や、ふくれ面を笑顔に変え、氷のようなセクシーさの代わりに温もりを漂わせ、思い通りのキャリアを築いている。人生を振り返るとき、これらはすべて成功と見なすべきものである。そしてもちろん、カルバンのジーンズを身に着けた彼女は相変わらず美しい。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 14
1 2

Contents