The British Bespokes vol.1
英国ビスポークシューメーカーとの一問一答
January 2020
photography james holborow
George Cleverley
ジョージクレバリー
究極の美を追求する数々のハリウッドスターに愛されてきたビスポーク随一の名門はクレバリー氏亡き後、後継者のジョージ・グラスゴー親子により、さらに華麗なハリウッドコネクションを築き続けている。
シグネチャーのチゼル気味のスクエアトウ、基本にして究極の一足がブラックカーフのオックスフォードシューズ。シンプルなデザイン故に品質の差は歴然。最初は締め具合を調整できるレース付きを薦めるという。
ハンフリー・ボガートやケイリー・グラントといった往年のハリウッドスターから、近年では映画『キングスマン』シリーズとのコラボレーション、映画『ファントム・スレッド』のカメオ出演と、常に世界のレッドカーペットを歩いているジョージ クレバリー(以下、GC)。
その華麗な顧客名簿と、セレブリティを魅了し続ける靴作りの内側をジョージ・グラスゴー・シニア氏はこう語る。
スターを魅了する構造の秘密―本店3階のストックルームには約3000足のラスト(木型)があるそうですが、代表的な顧客といえば?
「 サー・ウィンストン・チャーチル、マイケル・ケイン、チャーリー・ワッツ、アンソニー・ボーディン、ダニエル・デイ=ルイス、コリン・ファース。うちのお客様に共通しているのは誰もが洗練されたテイストを持っていることでしょう」
―この型紙とラストはどれくらいの期間、保存されますか?
「型紙で20年、ラストは10年です。実は10年経つと大抵の方の足は変化しているので、測り直す必要があります。アーチが落ちたり、体重の増加などで大きくなる傾向が多いですね」
―イングリッシュビスポークはロンドンの伝統ですが、特有の形はありますか?
「GCに限っていえばトウシェイプです。スクエアトウ、それもジョージ・クレバリーはサスピシャスリースクエアトウ、一方、甥のアンソニー・クレバリーはさらにナローなチゼルトウといった違いがあります。これはアンソニーが美観を第一としたのに比べ、ジョージは履き心地を第一としたからでしょう」
―ビスポークシューズは長年履けて、結果的にワードローブに対する投資になるというのは本当でしょうか?
「先日はニューヨークのお客様で30年前の靴を修理に持ってきた方がいました。ビスポークは最初の一足は高価ですが、長年履けることを考えると、実際は高価ではありません。同じ足を持っている人はひとりもいない。若い時は強健な体を持っているから、既製の靴に合わせることもできるでしょう。しかし、年を取った体はもっと繊細です。逆に靴が痛ければ歩けなくなる恐れもあります。いちど足に合えば、一足、また一足と欲しくなるのがビスポークシューズです」
―GCの快適な着用感の秘密は?
「ハンドメイドの靴は構造として足をサポートする機能を持っています。私たちは50年近くアーチサポートなどオーソペディック(足の健康を考えて医療的に作られた靴)の要素を入れた靴を作ってきました。これらの要素すべてが独特の快適な履き心地を生むのです」
会長のジョージ・グラスゴー・シニア氏(左)とLA に住むCEOジョージ・グラスゴー・ジュニア氏(右)。
ロンドンビスポークの伝統的なローファーのデザイン。オーベルジーンのスエードとカーフのコンビ使いでモダンな表情に。
グラスゴー氏が息子同然と語るボトムメーカーの岩崎陽平氏。
George Cleverley
ジョージクレバリー13 The Royal Arcade,28 Old Bond Street,
London,W1S 4SL
www.georgecleverley.com