伝説のおしどり夫婦、ポール・ニューマンとジョアン・ウッドワード

映画『長く熱い夜』のパブリシティのために撮影されたスタジオ・ポートレイト（1958年）。

　ジョアン・ジニリアット・トリミエ・ウッドワードは1930年2月27日、ジョージア州で生まれた。9歳のとき、アトランタで開催された映画『風と共に去りぬ』（1939年）のプレミアで、主演女優ヴィヴィアン・リーの夫ローレンス・オリヴィエの膝に飛び乗ったことがあるという（40年後、ジョアンとオリヴィエが『愛しのシバよ帰れ』のテレビ番組で共演したとき、オリヴィエはその瞬間を覚えていると彼女に言った）。

　両親の離婚後、ジョアンは高校まで母親と同じベッドで寝起きした。ルイジアナ州立大学で演劇を専攻した後、ニューヨークに移り、アクターズ・スタジオで学んだ。ジョアンとポールは1953年、ウィリアム・インジの戯曲『ピクニック』のブロードウェイ公演で出会った。ふたりともアンダースタディ（待機代役）だった。ジョアンはポールを「氷漬けにされたような顔」だと思った。

　しかし、タイプではなかったにもかかわらず、彼女は家に帰り、ルームメイトに、彼こそが私の運命の人だと告げた。ポールがまだジャッキーと結婚していたにもかかわらず、ふたりはすぐに関係を持つようになった。

　著作家ゴア・ヴィダルは言った。

「ジョアンの場合は、すべてが本能的で自然なのに対して、ポールは常に物事を深く考えていた。時にはそれが邪魔になるほどに。彼は演技を、物理学者や宇宙飛行士のようにアプローチすべきものだと思っていた」

映画『イブの三つの顔』にて受賞したオスカーを手にするジョアン・ウッドワード（1958年）。

　ジョアンの奇跡の年は1958年だった。1月29日、彼女はラスベガスでポールと結婚した。その2カ月後、彼女はアカデミー主演女優賞を受賞した。映画『イブの三つの顔』で3つの人格を持つ女性を演じたのだ。その演技は豊かで、直感的で、時代を先取りした素晴らしいものだった。ポールとの初共演作『長く熱い夜』では、今度はポールがカンヌ国際映画祭で最優秀男優賞を受賞した。

　彼らはハリウッドのゴールデン・カップルになった。しかし、ポールは最初の妻ジャッキーに3人の子供を押し付けて家を出ていた。ジャッキー自身も、本当は女優になりたかったのだった。ジャッキーの娘のステファニーは言った。

「私のママは離婚して、ジョアンはオスカーを手に入れた」

　ポールは不倫の罪悪感を映画『熱いトタン屋根の猫』（1958年）の演技にぶつけた。彼は言った。

「映画の中で表現した嘘と裏切りに対する嫌悪感は、本当は自分自身への嫌悪感だったのだ」

　彼はその演技で初めてオスカーにノミネートされた。ジョアンはかつてこう言った。

「演技はセックスのようなもの。ただ“やる”のよ。語るものではないわ」