RING OF TRUTH

−モハメド・アリ−
信じるもののために戦った男

January 2021

text nick scott

1974年、“ランブル・イン・ザ・ジャングル”(キンシャサの奇跡)でのジョージ・フォアマンとアリ。

マルコムXへの後悔 1964年5月、アリはガーナ首都アクラにあるアンバサダーホテルの外で、偶然マルコムXに再会した。彼をネーション・オブ・イスラムに勧誘した人権活動家であり、22歳のヘビー級チャンピオンが自分の名前を変えることを世界に告げたときにそばにいた人物だ。彼はメッカへの巡礼から帰ってきたところだった。しかし、マルコムXは、イライジャ・ムハンマドと仲違いし、彼を女たらしで偽善者だと非難していた。そのためアリは、マルコムXを敬遠していたのだ。

「マルコムを無視したことは、私の人生で最も後悔していることだ……」そうアリは彼の2003年の自伝、『ザ・ソウル・オブ・ア・バタフライ』で書いている。

「彼は伝統的なイスラム教徒の白いローブを着ていて、預言者のような杖を持ち、髭を生やしていた。私は彼がとても遠くに行ってしまったように思えた。彼が挨拶しに来た時、私は背を向けてしまった。私たちの仲違いを公(おおやけ)のものとしてしまったのだ」

THE RAKE JAPAN EDITION issue 37

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