Jeremy Hackett’s Wardrobe

“Mr. CLASSIC”
ハケット氏の全ワードローブを公開

December 2014

高品質の英国製品とは、
長い年月をかけてつき合うんだ。
そうするとほら、こんなに味が出る。
text masatoshi mori photography ryuji araki

長く大切に履く靴マニアの真骨頂靴6足を整えるハケット氏。靴マニアの愛情が溢れたシーン。50~60足所有しているが、履くのは「10足くらい」と笑う。右手前2足はウエストン。左2足はジョージ・クレバリー。後列左のローファーはブルックス ブラザーズでこれも25年モノ。右は日本人デザイナーによるユケテンというブランド。軽い履き心地がお気に入り。

「みんな“夏はどうだった?”ってたずねるのに、どうして“冬はどうだった?”とはたずねないんだろう。僕ならこの冬は何が着たいのって聞くよ。だって冬こそ、大好きな服が着られる季節なんだから」

 まさに語録といっていい、才人らしいコメントだ。こういってハケット氏が「これぞ英国の秋冬」と引っ張り出してくれたお気に入りが、ツイード・ジャケット5着と3着のフラノスーツ。もちろんすべてがハケット氏のデザイン。ツイードは柄も考案している。

「スーツをはじめ近代の紳士服は屋内で着る前提で作られた服だけど、ツイードは屋外で着る素材。だから手触り、質感が面白いよね。独特だよ。英国ならではという素材さ。着れば着るほど身体に馴染むし、着込んでこそ味わい深くなる。フラノは本当にエレガントだね。その中でもこの『フォックス・フラノ』は最高級品。軽くて暖かくて、一度これに慣れたら他は着られないよ」

 また靴マニアで知られるハケット氏の推奨はウエストンとジョージ・クレバリー。右の写真で自ら靴ひもを整えているUチップは、ハケット氏のデザイン。甲の部分に海軍が採用する厚手のキャンバス地を使用した。

「ウエストンは僕の細い足と相性抜群なんだ。この黒のストレート・チップは、89年にジョージ・クレバリー本人に作ってもらったものだよ」

 1991年に92歳で天寿を全うした、伝説のビスポーク職人の美靴。20年以上経った今も、輝くような気品を放っている。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 01

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