LEGENDARY SCOTCH WHISKIES

幻のウイスキーを訪ねる旅

November 2016

text yuka hasegawa photography kumi saito
Issue07_P178_01

Martin Green / マーティン・グリーン(ボナムス・ウイスキー・スペシャリスト)
著名な競売会社クリスティーズを経て、2008年にボナムス・エジンバラのウイスキー部門のヘッドに就任。同社にてレア・ウイスキー・オークションを本格的に稼働させ、現在は世界中に多くの顧客を抱える。

BONHAMS Auction House, Edinburgh
コレクターを虜にするオークション
今英国において、ウイスキー・オークションがかつてない活況を呈している。世界のレア&コレクタブル・ウイスキー市場に何が起こっているのか?

 世界的なウイスキー・ブームを背景に、スコッチの生産国である英国のシングルモルト市場は、ここ数年快進撃を続けている。スコットランドに拠点を置く業界有数のウイスキー・ブローカー「レア・ウイスキー101」のリポートによると、2015年上半期、英オークションで2万638本のスコッチ・ウイスキーが売買され、前年同期比35%増を記録したという。先日エジンバラで行われた競売会社「ボナムス」のオークションでも、「グレンフィディック50年」が1万3750ポンド(約256万円)の高値をつけて落札され現地のメディアで話題となった。

「エジンバラのオークションには、一般の小売り市場では見られないレア&オールドボトルが続々と集まってくる。またプレステージの高い蒸留所がリリースする限定版プレミアムボトルが出品されることもよくあります」と語るのは、ボナムス・エジンバラで、ウイスキー・オークションの指揮を執るマーティン・グリーン氏。

 現在オークションにおいて、コレクターたちの熱い視線を集めているのは『マッカラン』『ボウモア』『ダルモア』『グレンフィディック』そして『アードベッグ』だそうだ。「10年前は2000ポンドだったシングルモルトが、今では倍以上に跳ね上がるご時世。市場での希少性やコンディション、価格の動き、市場のトレンドや蒸留所の動向などさまざまな要素を鑑み、顧客の抱えているレアボトルのベストな売り時、買い時を的確にアドバイスをするのが私の仕事です」

 特に最近は、投資目的でスコッチ・ウイスキー・オークションに参加する人も増えているという。「ワイン投資」と肩を並べるコモディティの投資先として、シングルモルトのポテンシャルに熱い視線が集まっている。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 07
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