LEGENDARY SCOTCH WHISKIES

幻のウイスキーを訪ねる旅

November 2016

text yuka hasegawa photography kumi saito
Issue07_P172_01

ウイスキー・コレクターや投資家の垂涎の的である「マッカランM」シリーズ用の樽も貯蔵庫で熟成中。2014年サザビーズ香港において、「ザ・マッカラン・インペリアル M」が、シングルモルト史上最高額の62万8205USドル(約7千5百万円)で落札された。

MACALLAN, Speyside
ザ・マッカランが愛される理由
シングルモルトの王道と称され、世界中のウイスキー・ファンからの称賛をほしいままに集めているザ・マッカラン。その理由を探るべく、スペイサイドに足を延ばした。

 スコットランド北部ハイランド、清澄なスペイ川流域に広がるスペイサイドには、50以上の蒸留所が密集し、スコッチウイスキーの聖地と言われている。「Whisky Trail(ウイスキー街道)」の標識を横目に車を走らせると、150ヘクタール(約1.5㎢)の広大な敷地を擁する「マッカラン・エステート」に辿り着く。ここで同社のウイスキーの原料となるミンストレル大麦が自家生産されているという。

「最高級の原酒を蒸留するために、自社で管理した原料を使用しています。蒸留においても、“ファイネストカット”と呼ばれる蒸留の中間に抽出される部分のみを使用。これは全蒸溜液のわずか16%、長い熟成には原酒の絶対的な質が必要不可欠なのです」と話すのは、ツアーガイドのジョディーさん。また、「マッカランが最もリスペクトしているのは、熟成に使う樽で、その品質を徹底管理しています。当社が所有するスペインの森林で伐採されたオークを樽にして、シェリーメーカーに貸し出し、シェリーが熟成した後の樽を熟成に使用します」。マッカランには、ウイスキーの製造責任者と同様に、樽管理責任者という役職があるそうだ。

 ツアーの最後に、貯蔵庫に静かに眠る65年物の樽を見せてもらった。こんな貴重な原酒はいつリリースされるのかと聞くと、「それを判断するのは、『ウイスキーメーカー』と呼ばれるスペシャリスト。毎日原酒のサンプルをチェックし、来るべき日に備えている」。世界のマッカラン愛好家を鼓舞させる、新たな至高の銘酒の誕生はいつになるのか。ファンにとって、またひとつ、楽しみができたようだ。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 07
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