AZABU TAILOR
こだわりの別注生地、こだわりのスタイル:感性にフィットした服を仕立てる麻布テーラー
March 2025
photography takeshi wakabayashi

野間 剛が着るDORMEUIL“Dobcross Loom”(左)「旧式のシャトル織機である“ドブクロスルーム”を用いてドーメルが織り上げた完全別注の平織り生地で仕立てたスーツです。太番手の糸による経緯双糸の生地は、超低速で織り上げられているのでとても豊かな膨らみ感があり、とろみ、滑り感、反発力も備えています。まったくジャリジャリしていないんですよね。広めのべリートラペル(ラペルの外側がカーブしたラペル)でウエスト位置が高めの『クラッシーアドバンス』というモデルを、ピークトラペルで仕立てました。もともと英国スタイルの服が好きでしたが、今はそれを経て、国のスタイルにとらわれずに自分らしさを追求できるようになりました。自分の経験をお客様にフィードバックしています」。3ピーススーツ¥270,050(オーダー価格)Azabu Tailor(麻布テーラー虎ノ門店 Tel.03-6273-3522)
楠本 大仁が着るMARLING & EVANS“Jacobite”(中)「厳しい自然の中で育った極太の英国羊毛をしっかり打ち込んで織り上げた、いい意味での粗さが魅力の英国マーリン&エヴァンスの『ジャコバイト』という完全別注生地で仕立てたスーツです。ハリ感が豊かな非常に英国色の強くパキッと仕立てあがる生地ですので、そのぶん柔らかなスタイルを目指しました。キックバックのある本バス芯を用いてより豊かな立体感を出しラペルは太め、袖口は3つボタン、トラウザーズはストレート気味で裾を太くしてあります。立体的なシルエットに、国内自社工場の縫製力を実感します。オケージョンの中で着る服というベースは崩さず、お客様と一緒にこだわりのスタイルを創造するのが楽しいんです」スーツ¥107,800(オーダー価格)Azabu Tailor(麻布テーラー虎ノ門店 Tel.03-6273-3522)
太田 剛志が着るCLOTH ERMENEGILDO ZEGNA “Loop”(右)「クロス エルメネジルド ゼニアに色柄別注した『ループ』という綾織り生地で仕立てたスーツです。経緯とも上質な双糸を用いており、滑らかさ、しなやかさ、光沢、どれをとってもとてもイタリアらしいクオリティの高さが感じられます。柔らかな印象の色合い、とても上品な無地ライクのチェックゆえ、普段ネイビーやグレーの無地を好んで着られているお客様でも取り入れやすい、“きっかけ”を生んでくれる生地になっています。広めのラペルでボタン位置の低いモデルをベースに、体型補正を入れながら身体にフィットさせてスタイリッシュに仕上げています。控えめなエレガンスをお好みのお客様にぜひご提案したいスタイルです」スーツ¥157,850(オーダー価格)Azabu Tailor(麻布テーラー虎ノ門店 Tel.03-6273-3522)
フィッターは表現者だ。それが一流のレベルであれば、唯一無二のスタイルを創造するアーティストになる。フィッターの仕事は注文主の採寸をし、その身体の特徴を捉え、補正するだけではない。その先の領域、すなわち注文主の感性に合った服をいかにして一緒に創造していくか、そこにも大きな仕事がある。
麻布テーラーは真の表現者、すなわちスーツを創造するアーティストの集団である。パーソナルオーダーと謳っているのは、注文主個人の魅力を最大限に引き立たせることに、何よりも重きを置いているからだ。ここでのオーダーは無限の可能性に満ちている。今回ご登場いただいた3名のスーツを見てもわかるように、スーツの印象はそれぞれ大きく異なる。どの芯地を選び、どのように補正を入れるかに始まり(基本の反身・屈身はもちろん、左右それぞれ異なる肩傾斜の補正も可)、ラペル幅、袖の上部と下部のそれぞれの太さといった細部にまでこだわってスタイルを創れる。非常に自由度が高いからこそ、お客様に寄り添ったうえでのフィッターの創造力が問われてくるのだ。
至高の一着の創造は、生地選びの段階から始まっている。組成からオリジナルのドーメルの「ドブクロスルーム」など、毎シーズン垂涎の別注生地が揃っているのも麻布テーラーの醍醐味。生地選びの段階から異様な高揚感に満たされるはずだ。
全店に日本フォーマル協会のライセンス取得者が在籍している(登場の3名はゴールドライセンス取得者)のも彼らの強みだ。ルールを熟知しているからこそ、そこから発展的な提案ができるのだ。
DORMEUIL “Dobcross Loom”
ビスポークスーツ愛好家の間で高い人気を誇る旧式のシャトル織機ドブクロスルームで織り上げられた「希少価値の高い特別な生地」。超低速で織り上げられるため流通量が少なく、大変貴重な生地となっている。こちらは麻布テーラーがドーメル社に別注したオリジナルクオリティの「ドブクロスルーム」。経糸40番手双糸、緯糸48番手双糸と、低番手の強撚糸で織られていながら、しっとり感と上質な光沢を備えた極上の生地だ。
MARLING & EVANS “Jacobite”
着るほどに身体に馴染むしっかり織られた英国生地を好む方にオススメしたいのが、太く弾力性に富んだ粗野な英国羊毛で織り上げられた英国マーリン&エヴァンスの「ジャコバイト」だ。こちら、麻布テーラーの完全別注生地で、なんと経緯とも極太の26番双糸で織り上げられている。
CLOTH ERMENEGILDO ZEGNA “Loop”
感性に訴えかけてくる美しさを誇るのが、クロス エルメネジルドゼニアに別注した、生産工程で生じる余剰原毛を集めて織り上げられる、環境に配慮したサステナブルな綾織り生地「ループ」だ。無地ライクの控えめなチェックは、無地愛好家でも冒険したくなる。
SUBSIDIARY MATERIALS
本水牛やナットボタンなどが揃い、色数も豊富。毛芯のバリエーションまで選ぶことができ、フィッターとともにスーツを創造する楽しさを存分に味わえる。

3月5日に麻布テーラー虎ノ門店がオープンした。時代の空気を捉えるのに長けたウェルドレッサーの楠本大仁氏が店長として在籍。麻布テーラーのこだわりの別注生地、彼らの創造力をぜひ体感してほしい。パーソナルオーダーの納期は約4週間。
麻布テーラー虎ノ門店東京都港区西新橋1-6-13 柏屋ビル1F
TEL.03-6273-3522
営業時間:12:00~20:00(土日祝11:00~20:00)
※ラストオーダー 19:30まで 定休日:木曜
本記事は2025年3月25日発売号にて掲載されたものです。
価格等が変更になっている場合がございます。あらかじめご了承ください。
THE RAKE JAPAN EDITION issue 63
Contents
Wednesday, April 16th, 2025
Tuesday, April 8th, 2025
Monday, March 31st, 2025
Sunday, March 30th, 2025
Saturday, March 29th, 2025
Friday, March 28th, 2025
Thursday, March 27th, 2025
Thursday, March 27th, 2025