ART OF CLOTH
いま最注目の生地と仕立て
October 2021
ドーメルのトレンチ
Dormeuil「トレンチ」はウール55%、コットン45%による400g/mのギャバジンで、トレンチコート用の生地として開発されたからその名がついた。ドーメルでは「トレンチ」の生地でその名のとおりトレンチコートのオーダーも可能だ。こちらはパリのドーメルブティックで展開されていたトレンチコートをもとに、できる限りクラシックな雰囲気を残したモデルで、基本は膝下丈。オーダーなので、着丈、身幅、袖丈は調整可能だ。ボタンも選択可。納期は約1カ月半~。トレンチコート¥374,000(オーダー価格)Dormeuil/Ⓐ
バンチにはない
質実剛健なウールコットン“トレンチ” 1842年に創業したフランスの名門ドーメルの歴史的名作服地として「トニック」「スポーテックス」「スーパーブリオ」があげられるが、同ブランドにはほかにもビスポーク好きが惚れ込む素晴らしい服地が多く存在する。2年前からフランスのとあるメゾンで使われ始めたウールコットン服地「トレンチ」はその筆頭だ。
バンチブックが存在しないため存在がほとんど知られていないのもかえってよく、品質の高さに惚れ惚れする。適度な柔らかさとコシを備え、カジュアルすぎず、かといってドレス感も強すぎないその塩梅がまさに今を捉えていて、実にエレガントなのだ。打ち込みの強さから生まれる独特の張り感と落ち感はモード的ミニマル感を生み出す。その空気をクラシックにも添えてあげるのが、今の気分なのである。ドーメルの名作服地を好んで仕立ててきた方にもぜひオススメしたい。
Lid Tailor(左)高級素材になるほどコットンは敬遠されがちだが、ドーメルのウールコットン「トレンチ」には十分なエレガントさがあり、何より新鮮だ。仕上げで生み出す光沢とは異なる高密度の打ち込みによる艶感が独特で、ギャバジンでありながら適度な柔らかさとコシがあるのもいい。根本 修氏が手がけるリッドテーラーのダブルブレステッドはデザインバランスが非常に秀逸で、副資材を極力省いた軽やかな仕立て。タイドアップだけでなく、ニットを合わせても素敵だ。国内縫製のメイド・トゥ・メジャーで、納期は約5週間。スーツ¥401,500(オーダー価格) Lid Tailor/Ⓑⓒ ウールカシミアのタートルネックニット¥82,500 Dormeuil/Ⓐ
Hideaki Sato(右)ドーメルのスーツ生地で大変な人気を誇っているのが、スーパー160’sに相当する15.7マイクロンの極細原毛を用いた「15.7 4プライミルド」。同生地のスーツに合わせたバルマカーンコートは、ウールコットンの「トレンチ」で仕立てられたもの。ミラノスタイルの洗練を追求する佐藤英明氏ならではの美しい肩のラインと、ウールコットン特有の生地の張り感と落ち感が、ミニマルなエレガンスを生み出している。コートとスーツ、いずれも国内縫製のメイド・トゥ・メジャーで、納期は約5週間。コート¥407,000、スーツ¥471,900(以上オーダー価格)both by Hideaki Sato/Ⓑⓒ タイ¥15,400 Fratelli Luigi/ⓒ シャツ¥22,000 Paul Stuart(ポール・スチュアート 青山本店 Tel.03-6384-5763)
Ⓐドーメル青山店 TEL.03-3470-0251
Ⓑ日本橋三越本店 TEL.03-3241-3311(大代表)
ⓒ伊勢丹新宿店 TEL.03-3352-1111(大代表)
本記事は2021年9月25日発売号にて掲載されたものです。
価格等が変更になっている場合がございます。あらかじめご了承ください。
THE RAKE JAPAN EDITION issue 42