ART OF CLOTH

いま最注目の生地と仕立て

October 2021

STANDEVEN “Super120’s Flannel”
スタンドイーブンのスーパー120’s フランネル

Henry Poole(左)サヴィル・ロウ最古のテーラー、ヘンリー・プールにふさわしい格調の高さを誇る「チェルシー」は、シニアカッターのアレックス・クック氏が開発したモデルをベースに、日本人向けにモディファイした型紙を使用。スーパー120’sフランネルの仕立て映え感も凄まじい。国内縫製のメイド・トゥ・メジャーで、納期は約5週間。スーツ¥346,500〜(オーダー価格) HenryPoole/ⒶⒷ シャツ¥24,200、タイ¥16,500、チーフ¥7,700 all by Paul Stuart

Cifonelli(右)4代目のロレンツォ・チフォネリ氏率いるパリの名門中の名門タイユール、チフォネリのカットは、カーブを描いたラペルやマスキュリンなカットが男らしく、袖を通すと大変軽やか。紡毛糸と梳毛糸を掛け合わせたスーパー120’sフランネルの表情もまた高貴だ。国内縫製のメイド・トゥ・メジャーで、納期は約5週間。スーツ¥346,500〜(オーダー価格) Cifonelli/ⒶⒷ、シャツ¥31,900 Barba、タイ¥30,800 Seven Fold/Ⓑ チーフ property of stylist

ダブルミルドで柔らかな
“スーパー120’s フランネル”
 英国ブラッドフォードの名門スタンドイーブンの「Oxbridge Flannel」シリーズのスーパー120’sフランネルは、梳毛と紡毛を組み合わせて織り上げており、伝統的なダブルミルフィニッシュによる大変ソフトな風合いが自慢だ。同生地を目の前にすると、クラシックのカッコよさを、否応なしに再認識させられる。

 Super120’sの梳毛長繊維による密度が高く滑らかな80番双糸はラグジュアリーでドレープのある生地を生み、厚みと弾力のある短繊維による18番単糸の紡毛糸は、空洞になっている繊維が驚くほど軽くて温かい生地を生み出す。これらふたつの糸を組み合わせたことで、両者の魅力が合体し、魅力が何倍にも増した生地となっているのだ。

 生地の両面にミルドを施すダブルミルフィニッシュの工程を経ているのも、この生地の特筆すべき点。ブラッドフォードの軟水と石鹸でタンブル洗いすることで、通常のフランネルよりもコンパクトで密度が高く、ほかに類を見ないソフトなドレープ感をもたらしてくれる。

 今の時代だからこそ凜とした本物を求めたいなら、こちらをオススメしたい。

独特の柔らかさを誇るスーパー120’sフランネルは、トラウザーズとも好相性

Drummersドラマーズは本格的なトラウザーズのオーダーを多くの人に楽しんでもらおうと、今年スタートしたブランドで、さまざまなディテールを選べるのが嬉しい。かなり大柄のウィンドウぺーンがあしらわれたブラウンのグレンチェックなど、スタンドイーブンのスーパー120’sフランネルには、モダンでユニークな柄ものも揃っている。国内縫製のメイド・トゥメジャーで、納期は約5週間。トラウザーズ¥119,900〜(オーダー価格) Drummers/ⒶⒷ

Ambrosi Napoli1980年生まれのサルヴァトーレ・アンブロージ氏は愛嬌たっぷりで社交的、スーパー・ナポレターノなキャラクターも手伝って、今や世界で最も有名なパンタロナイオである。彼のトラウザーズは、どこか抜け感があって、美しくも肩肘張らずに穿けるのが魅力だ。腰回りのディテールをすっきりまとめ、サイドは片倒し、ポケットがスラントで、スポーティな装いとの相性が非常にいい。こちらは既製品。トラウザーズ¥121,000 Ambrosi Napoli/Ⓑ

Marco Cerrato1976年生まれのマルコ・チェラート氏は、母がナポリのパンタロナイオ一家モーラ家の出身ということもあり、7歳から針仕事を覚え、16歳で本格的にパンタロナイオになることを志した。今、脂がノリに乗っている彼の仕事は非常に丁寧で立体的で、ディテールもクリーンで穿いたときの美しさは格別だ。スタンドイーブンの柔らかなフランネルとの相性もとてもよい。こちらは既製品。トラウザーズ¥176,000 Marco Cerrato/Ⓑ

スタンドイーブンは6ブランドを擁する
ラグジュアリーファブリックスの中核

スタンドイーブンは1855年、英国・西ヨークシャーのブラッドフォードにて創業したミルで、現在は「ラグジュアリー ファブリック」社の一翼を担っている。同社はほかにウィリアム ハルステッド、エスコリアル、ジョン フォスター、カイノック、クイーンズバリーと、計6ブランドを擁し、昨今はそれぞれのミルの得意とする生地をスタンドイーブンのコレクションに集約させている。ビスポーク好きを満足させる非常に質の高い生地が揃っている。
お問い合わせ先
Ⓐ日本橋三越本店 TEL.03-3241-3311(大代表) 
Ⓑ伊勢丹新宿店 TEL.03-3352-1111(大代表)

本記事は2021年9月25日発売号にて掲載されたものです。
価格等が変更になっている場合がございます。あらかじめご了承ください。

THE RAKE JAPAN EDITION issue 42

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