ART OF CLOTH
いま最注目の生地と仕立て
October 2021
VBCのスーパー100’s フランネル
Tie Your Tie
タイ・ユア・タイにふさわしい
柔らかくてコシがある
スーパー100’s フランネルクラシックで上質な服地を好むフランコ・ミヌッチ氏にふさわしい、VBCのスーパー100’sフランネルは、しっかりとしたコシがありながら大変ソフトな風合い。着ている本人にいかに自然に溶け込ませるかが氏のスタイリングの根底にあり、それを実践するのにふさわしい服地だ。国内縫製のメイド・トゥ・メジャーで、納期は約5週間。スーツ¥231,000(オーダー価格) Tie Your Tie /ⒶⒷ シャツ¥48,400、タイ¥30,800 both by Tie Your Tie /Ⓐ
副資材を極力省いたことによる柔らかな肩回りが優雅。前身頃のフロントダーツが省略され、細腹がなくすっきり見えるのもフィレンツェの仕立ての特徴だ。
フランコ・ミヌッチ氏がフィレンツェのスパーダ通りに7坪の店「タイ・ユア・タイ」を開いたのは、1984年。今日では「クラシック」という言葉がひとり歩きしてしまった感があるが、ミヌッチ氏は色彩、品質、装い方、すべてに孤高の美意識をもっていて、THE RAKEからすれば、氏の高貴なスタイルこそが真のクラシックであり、それが放つエレガンスは今も不変のものと考えている。氏のスタイルに魅了された世界中の紳士を、奥深きクラシックの世界へと誘った氏の功績は計り知れない。ミヌッチ氏は店で扱っていた、ソフトでしなやかな生地で仕立てられたキートンなどの服を愛した一方で、フィレンツェの名サルトが仕立てた服もこよなく愛し、ジョヴァンニ・マイアーノやジュゼッペ・セミナーラの服を大変贔屓にしていた。
2年前にオープンした元麻布のタイ・ユア・タイでは、ミヌッチ氏が好んで仕立てていたフィレンツェ仕立ての服をよみがえらせようと、氏が今も大切にしている服をもとに、新たなモデルを開発。そしてこのたび、日本製メイド・トゥ・メジャーのサービスをスタートすることとなった。
最高のウェルドレッサー、フランコ・ミヌッチ氏は、1935年、ローマで生まれた。映画配給会社、ベネトンの営業などを経て、1984年、フィレンツェにて自身の審美眼に適った本物のイタリアンクラシックだけを揃えた名店「タイ・ユア・タイ」をオープンさせた。クラシック界の至宝とされるウェルドレッサー。
ミヌッチ氏が愛したフィレンツェの名匠仕立ての服は、洒脱で、とても軽やかかつ柔らか。優雅な曲線美と自然なゆとりがあり、ディテールを強調せずに装飾性を排したことで生まれる、一歩引いた控えめなエレガンスを生み出していた。その服をそのまま再現したのが、ミヌッチ氏自身の名(ジャンフランコ・マリア・ミヌッチ)を冠し、今回開発された「ジャンフランコ・マリア」だ。奥ゆかしさと控えめなエレガンスを備えたその服をミヌッチ氏は大変気に入って、自らの分身という意味を込めて命名したという。
さて、ご紹介する二着は、VBCのスーパー100’sフランネルと、21マイクロンのボウ・ソレイユ(ソラーロ)で仕立てたものだ。フランネルのほうは、グレイの色合いがイタリアらしい上品さを備え、コシがありながらも上質な原毛が生む柔らかさが、服のミニマルな美しさを見事に引き立てている。ボウ・ソレイユのほうは、VBCのアイコンである21マイクロンの極太原毛を使用。英国生地顔負けの、着込むほどに味わいが増していく服地に仕上がっている。どちらも仕立て映えのする生地ゆえ、軽やかでエレガントな装いを生んでくれる。
Tie Your Tie
VBCのアイコンである
21マイクロン原毛の生地で
秋冬にソラーロを楽しむしっかりした21マイクロンの原毛を用い、経緯ともに双糸にして織り上げた、ハリとコシが豊かで仕立て映えのする370g/mのボウ・ソレイユ(ソラーロ)。クラシックベージュのほか、シックなブラウンを揃えている。それにしても抑制の効いた優雅なスタイルで、柔らかさが見事に表現された一着だ。国内縫製のメイド・トゥ・メジャーで、納期は約5週間。スーツ¥231,000(オーダー価格) Tie Your Tie/ⒶⒷ タートルネックニット¥77,000 Tie Your Tie/Ⓐ
Ⓐ日本橋三越本店 TEL.03-3241-3311(大代表)
Ⓑ伊勢丹新宿店 TEL.03-3352-1111(大代表)
本記事は2021年9月25日発売号にて掲載されたものです。
価格等が変更になっている場合がございます。あらかじめご了承ください。
THE RAKE JAPAN EDITION issue 42