ART OF CLOTH
いま最注目の生地と仕立て
October 2021
VBCのウール×シルク×リネン
ジャケットスタイルに柔らかな
エレガンスを生むウールシルクリネン VBCの13代目でクリエイティブ ディレクターを務めるフランチェスコ・バルベリス・カノニコ氏がサルトリア仕立てをこよなく愛していることが大いに関係しているのだろうが、VBCの生地には常にハッとさせられるものがある。
クラシックのアーカイブに着想を得ながら素材合わせの妙で若々しく格式張らないスタイルを生み出している、写真の「ヴィンテージライン」のウール×シルク×リネンの三者混生地も同様だ。絶妙に美しい色の掛け合わせと、ざっくりした織り感でありながらしなやかである同生地は、リラックス感を醸し出しつつ優雅さもたっぷり。やや大きめの千鳥格子で仕立てられたジャケットは、ドレスにもカジュアルにも振れ、使い勝手のよさでも大いに勝る。
Rubinacciウール87%、シルク8%、リネン5%によるVBCの三者混生地で仕立てられた、3パッチポケットジャケット。名門ルビナッチの洒脱さと表情豊かな千鳥格子の上品さが見事に溶け合った一着だ。国内縫製のメイド・トゥ・メジャーで、納期は約5週間。ジャケット¥176,000〜(オーダー価格) Rubinacci /ⒶⒷ、トラウザーズ¥64,900 Rota/Ⓑ シャツ¥39,600 Ring Jacket Napoli/Ring Jacket Meister 206 Aoyama、ニットタイ¥17,600 Tie Your Tie
Mariano Rubinacci / マリアーノ・ルビナッチクラシック界の至宝、ナポリのマリアーノ・ルビナッチ氏の生地へのこだわりは半端ない。ウール×シルク×リネンで独特の素材感と表情をもった千鳥格子は、格子の大きさといい、氏が好みそうな“奇を衒うことなく、クラシックでありながら他にない個性をもったもの”だ。
Rubinacci同じルビナッチのジャケットでも、写真1枚目のようなタイドアップの装いだけでなく、ブルージーンズを合わせてよりカジュアルな合わせも楽しめる。その際のジーンズは、色落ちしたものよりもインディゴが深く残っているもので、シルエットは脚にフィットしすぎない程よいゆとりがあるタイプが品よくまとまる。千鳥格子が通常よりやや大きくあしらわれている点と、シルクやリネンが入ったことによるネップや素材のざっくり感も注目のポイント。カジュアル&スポーティな装いにすんなり溶け込んでくれるのだ。ジャケット¥176,000〜(オーダー価格) Rubinacci/ⒶⒷ ニット¥49,500 Paul Stuart(ポール・スチュアート 青山本店 Tel.03-6384-5763) ジーンズ property of stylist
N.H Sartoriaミラノきってのウェルドレッサー、フェデリコ・チェスキ氏がプーリア出身の名匠ドメニコ・ポンピーノ氏と立ち上げたN.H サルトリアの一着で、こちらはウォーム感のあるブラウンベースによるハウンドトゥース。同じウール×シルク×リネンの三者混でもブルーとは印象がガラリと変わる。濃いめのグレイウールトラウザーズとの合わせは鉄板で、シャツは白もいいがクリーム色を合わせると、一気に洗練性が増す。国内縫製のメイド・トゥ・メジャーで、納期は約5週間。ジャケット¥154,000(オーダー価格) N.H Sartoria/ⒶⒷ、トラウザーズ¥64,900 Rota/Ⓑ、シャツ¥24,200、タイ¥16,500、チーフ¥7,700 all by Paul Stuart(ポール・スチュアート 青山本店 Tel.03-6384-5763)
N.H Sartoriaシルクやリネンのネップが生地にイキイキとした表情を与え、多彩な糸と染色の違いによって複雑な色柄が見事に表現された三者混のハウンドトゥースは、シンプル&カジュアルに合わせても、素材がもつ力でそれなりの存在感を放ってくれる。さまざまな生地メーカーがハウンドトゥースを出しているなかでVBCのそれは、クラシックだけれど新しさを感じさせつつ、しっかりビスポーククオリティの品よさを保っているところがさすがである。それと、ミラノスタイルのクリーンで洗練された仕立てには、このくらいシンプルな装いがしっくりくる。ジャケット¥154,000 〜(オーダー価格)N.H Sartoria/ⒶⒷ、ニット¥39,600 Rencontrant/Ⓑ ジーンズ property of stylist
Ⓐ日本橋三越本店 TEL.03-3241-3311(大代表)
Ⓑ伊勢丹新宿店 TEL.03-3352-1111(大代表)
本記事は2021年9月25日発売号にて掲載されたものです。
価格等が変更になっている場合がございます。あらかじめご了承ください。
THE RAKE JAPAN EDITION issue 42